映画通スピードワゴン小沢一敬「言葉のセンスがめちゃくちゃいい」ー“ヒトラーから世界を救った男”チャーチルを語る
──そこがまさに演技力という部分なのかもしれないですね。
小沢「でもこれさ、非常に難しいのは、戦争継続か和平交渉かで当時のイギリス議会が割れた中で、戦争を続けることを選ぶ人の映画じゃん。そこを素晴らしいとは絶対に言えないし。特に今は、アメリカとイランがきな臭い時期だから、とても難しいタイミングでこの映画を選んでしまったなと」
──でも、こういうタイミングだからこそ、観るべき映画のような気もします。
小沢「そうかもしれないね。この映画のメッセージも、戦争を続けることを選んだチャーチルが正しかった、というものではないからね。映画の中の戦争継続派も和平交渉派も、どちらも本当に正しいと思う道を選ぼうとしてるわけで。私利私欲ではなく、どちらも自分の国を良くしようと思ってるだけなんだよね」
──その中で、なぜチャーチルがそっちを選んだのか? ということを理解するための映画ですね。
小沢「歴史の教科書では数行で終わってしまう出来事の中にも、実際にはあれだけの葛藤があったんだと。そういう意味では、現代でわれわれの目や耳に届いてる事件とか、政治とか、芸能とかのニュースだって、すべてをうのみにするんじゃなく、本当は中で何が起きてるのかを考えるべきなんだ、って思い知らされる映画でもあると思うよね」
──この映画だって、結果的にイギリスは戦争に勝つからチャーチルが正しかったようにも見えますけど、たとえ国が侵略されても最後まで戦うって言ってるチャーチルの姿は、見方を変えれば当時の日本軍のようにも見えてしまいますしね。
小沢「そうだよね。だからこそいろいろと考えさせられる内容なんだけど、何より一本の映画としてものすごく面白かったから、みんなに観てほしいね」