SF漫画「銃夢」がハリウッドで映画化されるまで―原作者と「タイタニック」のジェームズ・キャメロンの相思相愛<ザテレビジョンシネマ部>
日本の漫画やゲームがハリウッドで映画化されたり、映画やアニメーションがリメイクされるのは、もはや珍しいことではなくなってきた。オリジナルのファンは、ひとまずは歓喜し、スタッフやキャストの決定、変更、降板などの速報に一喜一憂、製作遅延や延期のニュースにやきもきしながらも作品の完成を待ちわびる。
公開された作品にキャラクターやストーリー、設定の改変があったとしても、ファンは意外に寛容だったりする。国が違えば諸々変わって当たり前で、しかも映画は最初から世界展開を前提にしているのだから。とはいえ、ファンの怒りを買うケースもあり、彼らが最も我慢ならないのはオリジナルへのリスペクトが欠落していることである。
翻って本作『アリータ:バトル・エンジェル』は、オリジナルへのリスペクトはもちろんのこと、クリエーター同士のリスペクト、さらにはオリジナルを愛するファンへのリスペクトと、多様なリスペクトであふれている。
かように幸せな状況で誕生した作品は、そう多くはない。事実、実際に作品を見れば、そんなリスペクトが画面の至るところに確認できるはずだ。
文=佐々木優
映像エンタメ誌やweb媒体を中心に執筆する映画ライター。編集プロダクション、出版社、ピンク映画などを経てフリー。1964年生まれ。