「ファーストラヴ」は、第159回直木賞を受賞した島本理生の同名小説が原作。環菜と由紀のやりとりを中心に繊細な女性心理を巧みに描き、目に見えづらい“心の闇”を臨床心理の視点からひもといた作品だ。真木は脚本を読み、本作に「挑戦したいと思った」と打ち明ける。
「苦しいシーンはたくさんありますが、女性がある種救われて、次のステップに導かれていくという、女性ならどこかに必ず共感ができる物語だったんです」
劇中に登場する環菜と環菜の母・昭菜(黒木瞳)には親子の確執があり、ささいな心の行き違いからそれが深まっていく。真木は2人の関係性を見て、自身が子供だったときを回顧し、感情移入したと言う。
「自分が幼かった頃の親は、子供だった自分にとって、決してパーフェクトじゃなかったし、おそらく世間でも同じように感じている人は少なくないのではと思っていて。出産して娘を授かった今、分かることがあり、当時のことが理解できるようになりました」
環菜と環菜の母親をはじめ、さまざまなキャラクターたちがもがき苦しむ姿を通して、家族とは何なのか、愛情とは何なのかを問う本作。
「親に対してぬぐえない過去をもっていたりする方はもちろん、家族がテーマなので、多くの人が共感できる作品だと思います。終盤で由紀が昭菜にかけた、あるセリフは、私自身にも響きましたし、その言葉に救われましたね。
このドラマは、人が抱えているほんの少しの傷がどんどん膨れ上がって大きくなるという、ものすごく繊細な人間の感情が丁寧に描かれています。おそらく観終わった後にいろんなことを考えさせるドラマになっていると思うので、ぜひ観てほしいです」