小沢「俺が大好きな甲本ヒロトさんと真島昌利さんのバンド、THE HIGH-LOWSの『不死身のエレキマン』という曲の歌詞に、『子どもの頃から憧れてたものに なれなかったんなら 大人のフリすんな』っていうのがあるんだけどさ、あれと通じるものがあるよね」
──男の子としての永遠のテーマともいえますね。
小沢「たとえばさ、仕事だとか私生活の人間関係とかがうまくいかなくて『あ~あ』って落ち込んだ日には、いつも思うんだよ、『中学生の頃の自分に合わす顔がねえな』って。中学生の俺に、『えっ? 将来、そんなふうになっちゃうの、俺?』って思われたくないから。だから『俺は納得いく自分になりたい』っていう、あのリノの考え方を、いくつになっても失いたくないなって思うよ」
──まさにそこはカッコつけていたいと。
小沢「そういうことだよね。だってさ、中学生のときは、カッコいい大人になりたかったんだもん。だから、仕事でも普段の生活でも、悩んだときに『決めるのは自分自身だ』って思いながらも、実は決めてるのは中学生のときの自分なんだよね。『中学生のときの自分だったら、どうするんだろう?』って考えるんだから」
──常に中学生の自分に見られてる感覚ってことですよね。ものすごくよく分かります、それ。
小沢「そういう意味では、特に男の子たちが観るとテンション上がる映画なのかもしれないね、これは。まさに松本大洋的というか。カッコいい男の子とは何か?っていうのを教えてくれる映画だから。差別をなくそうとか、格差社会がどうとか、そういうテーマの映画が多い中で、カッコいい自分にならなきゃいけないっていう、生き物としての、オスとしての、ものすごくシンプルなことを、それも説教臭くなく教えてくれる映画だよ」
──ちなみに、そんな今の小沢さんは、中学生のときの小沢さんにも納得してもらえそうですか?
小沢「俺はそう言いつつも、実は中学生のときの自分に後をつけられないように、常にまいてきてるから。たぶん今の俺を見失って、『どこにいるんですか?』って思ってるよ、中学のときの俺(笑)」
愛知県出身。1973年生まれ。お笑いコンビ、スピードワゴンのボケ&ネタ作り担当。書き下ろし小説「でらつれ」や、名言を扱った「夜が小沢をそそのかす スポーツ漫画と芸人の囁き」「恋ができるなら失恋したってかまわない」など著書も多数ある。
取材・文=八木賢太郎
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)