スピードワゴン小沢一敬「映画の歴史を変えた」と称賛するタランティーノ監督作<ザテレビジョンシネマ部>

2020/04/10 07:00 配信

映画

『パルプ・フィクション』(C)Miramax Films. All rights reserved


──『パルプ・フィクション』が紀元!

小沢「それぐらい、あの映画で一本、太い線が引かれたよね。ただ、その中で俺はひねくれてたから、『パルプ・フィクション』より(タランティーノ初監督作の)『レザボア・ドッグス(1991)』(5月11日(月)夜11:45、WOWOWシネマ)のほうが好きだったのね。だけど今回、この連載のために久々に観直したら、めちゃくちゃ面白くて。昔、あんまり好きじゃないなんて言ってたのは単なるポーズだったんじゃないか? とすら思えてきた(笑)」

──僕も久々に観直しましたけど、やっぱり面白かった。

小沢「今の若い子が観ても普通に面白いと思うんだけど、たぶん彼らがこの映画を観たら、『へぇ~、この時代の人たちもこういう手法の映画つくってたんだ』とか『はいはい、このオシャレなパターンのやつね』って言うと思うんだよ。だけど、違うよ、このパターンはこの映画がきっかけなんだよ!ってことは言っておきたい。もちろん、この作品以前にも、時系列を入れ替えて見せたり、複数の物語が伏線回収的につながっていく映画はあったんだろうけど、ここまでスタイリッシュにまとまってたものはなかったと思う」

──僕らはああいうスタイルを「はいはい、『パルプ・フィクション』のパターンね」って思っちゃいますけどね。

小沢「あとこの映画がエポック・メイキングな部分は、ひとつも無駄じゃない無駄話が延々と続くところなのよ。それまでの映画だと、マフィアとかギャングは、プライベートのときもマフィアであり、ギャングの会話をしてたじゃない。だけどこの映画は、ギャングのやつらが普段はくだらねえ会話をしてるってところを描いたのが、めちゃくちゃセンスがいいんだよね。そして、そのくだらねえ無駄話が全部センス良くて面白いという」

──あの無駄話が、ギャングの姿をよりリアルに見せてくれます。

小沢「そうそう。不良だってアニメ観るんだもんね、実際は(笑)。そういういろんな発明をしてきた映画だよね」