厳戒態勢の「UFC249」 2大タイトル戦の見どころを“世界のTK”が解説!

2020/05/07 20:00 配信

芸能一般

5月10日(日)放送の「UFC249」に出場する(写真左より)トニー・ファーガソン、ジャスティン・ゲイジー、ヘンリー・セフード、ドミニク・クルーズGetty Images


WOWOWライブでは、アメリカ・ジャクソンビルのヴェテランズ・メモリアル・アリーナで開催される「UFC249」の模様を、5月10日(日)に生中継する。

当初4月19日に開催を予定していた今大会は、新型コロナウイルス感染拡大により延期に。そんな中、このほど十分な安全対策を講じ、必要最低限の関係者立会いの下で無観客試合として行われることとなった。

メインカードは、トニー・ファーガソン×ジャスティン・ゲイジーのライト級暫定王者決定戦。さらに、王者ヘンリー・セフード×挑戦者ドミニク・クルーズのバンタム級タイトルマッチも組まれている。この2試合の見どころについて、“世界のTK”こと高阪剛に語ってもらった。

ライト級暫定王者決定戦は“格闘技バカ”VSオールラウンダーのマッチアップ!


――新型コロナウイルスの影響で、UFCナンバーシリーズは2カ月ぶり、しかも無観客での開催となりましたが、 豪華なカードが揃いました。

高阪:そうですね。この状況下での開催にはいろんな意見もあると思います が、安全性を確保した上で何とか大会を成立させる方法を見出してくれたのは、 選手やファンにとってはうれしいことです。

――メインカードは、 ライト級王者ハビブ・ヌルマゴメドフがロシア国外に出られないことなどから、 トニー・ファーガソン×ジャスティン・ゲイジーの暫定王者決定戦になりましたが、 これも大注目のカードです。

高阪: これはこれで相当見応えがあるカードですよ。

――ヌルマゴメドフの代打ゲイジーは、UFC参戦後6試合全てでポストファイトボーナスを獲得している超名勝負男であり、現在3連続1ラウンドKO勝ちという最も勢いに乗っている選手の一人です。

高阪:今回、自分も改めてゲイジーのUFCでの試合を順を追って見たんですが 、清々しいまでの“格闘技バカ”ですね(笑)。いわゆる“ファイター”タイプで、相手の攻撃でもバックステップせずに、常に前に出て“倒しきる試合”をする選手。典型的なストライカータイプに見えますが、バックボーンは違うんですよね。

ジャスティン・ゲイジーGetty Images


――幼少の頃からレスリングを始めて、大学時代はNCAAディヴィジョン1でオールアメリカンに選出された、根っからのレスラーです。試合では、レスラーにはとても見えませんが(笑)。

高阪:逆に言えば、 レスリング技術を全面に出さずに、いわゆる懐刀を忍ばせながら接近戦でバンバン打ち合って い るんでしょうね。だから対戦相手にしたら、レスリングを警戒しながらトップレベルのストライカーと相対さなきゃいけない。

――だから気が抜けないし、嫌な相手なんですね。

高阪:また、ローキックで崩してから右のオーバーハンドという必勝パターンがあるのも彼の強さで す。その右のオーバーハンドは、しっかり当たらなくても倒せるだけのリストの強さを持っているのでは、と思うんですよ。

変な角度でパンチが当たると、普通の選手だと手首が折れてしまったりするんですが、 ゲイジーの場合は、「この角度では倒れないだろうな」っていう角度でも倒しているので、尋常じゃなくリストが強いんだと思うんです。

――かつてのエメリヤーエンコ・ヒョードルや、イゴール・ボブチャンチンのようなタイプですか。

高阪:ライト級ながら、そういう強さを持ってますね。また、あの打ち方のフックはちょっと遅れて手が出てくるので見えにくいんですよ。それが相手にとっては脅威だと思います。

ただ、ファーガソンとしては戦略は立てやすいはず。必勝パターンは決まっているし、これまでの試合でゲイジーのクセも研究できていると思うので。だからポイントとなるのは、ゲイジーが隠し持っているレスリング力かもしれない。

トニー・ファーガソンGetty Images


――その武器はあくまで懐刀として、これまであまり使ってこなかっただけに、と。

高阪:ファーガソンは、長い手足を利した打撃だけではなく、グラウンドの極めも強いし、いわゆる“今成ロール”みたいな、トリッキーな動きから寝技に持ち込むこともできる。

でも、ゲイジー相手にきれいにテイクダウンを奪って、上のポジションになるのはなかなか難しいと思うんです。だから上を取るとしたらゲイジーだと思いますが、その時にトップキープがどれぐらいできるのか。それも興味があるところです。

――ファーガソンは下からの極めも強いですからね。

高阪:ゲイジーがそれを回避するだけのコントロール能力を持っているとしたら、ファーガソンにとってかなり厄介な相手になるし、その“まだ見えてない部分”が不気味なポイントでもある。

だからこの試合は、すべてがハイレベルのオールラウンダーであるファーガソン相手に、ゲイジーがどんな戦略を立ててくるのか。さらなる引き出しを開けてくるのかを注目したいですね。