2020/06/03 08:00 配信
本格的に音楽活動を始めたのは2018年。その不安と孤独感はデビューするにあたり、どう変化したのだろうか。
「前から持ってたものではあったけど、デビューする前はまだ心地いいって思える孤独感だったんです。ひとりは楽でもあるし、自分の弱さや欠点を認めざるを得ないときに、『嫌だ』って思っても、認めた瞬間に自分の穴にすぽっとはまれた感覚があったんです。言葉にするのは難しいんですけど、自分を認めてあげられたというか。孤独な気持ちも不安な気持ちも、もちろん嬉しい気持ちも、それぞれが全部私っていう結論に至った。それこそ人それぞれなんだから、私は情緒不安定でも良いって (笑)。でも曲を作るのが趣味じゃなくなって、自分の孤独を見据えて曲を作らないといけないって感じるときがすごく多くなって。それで苦しいときもあったりしますね(笑)」
アルバム『eyes』は、不安と孤独を感じさせながらも、前進しようというエネルギーが貫かれている。茨の道を歩きながらも、ラストに収められている「The Love We‘ve Made」では、大きな愛にたどり着く。
「結構曲の方向性がバラバラなので、曲順を考えるのは大変だったんですけど。『Fire Arrow』でちょっと落ちてから、平和に締めくくりたいなって思って、『The Love We‘ve Made』を最後にしました。この曲で歌っている愛は、恋愛だけには限定したくなかったんです。そばにいる人との愛だったり、もしかしたらその場所にはいない人との愛かもしれないし、親子の愛かもしれないし。いろんな関係性に投影しても違和感のない、ほんとに普遍的な愛の歌だと思ってます。愛自体それくらい大きいものだと思うので」
音楽を始めたきっかけは幼少期のフルートとの出会いだったという。そんなmiletが影響を受けたアーティストとは?
「ベートーベンです。ひとりで死ぬほど悩んだ人が好きなんです。悩み抜いた人の音楽の重さは他には変えられないものがあると思っていて。ベートーベンの音楽は弦の軋み具合だけで感情を表現できる。極まっている音楽だと思うので、そういう音楽を目指したい。レコーディングしてる時、昔フルートをやっていた時の気持ちと重なるところが多くて。ビブラートひとつにしろ、声のかすれ具合にしろ、言葉も含めて全部を音として捉えてるところがあって。今まで聴いてきたり奏でてきた音が、全部私の声に繋がってるなって思います。だから歌詞も、深く意味を考えずに、ライトに音だけで楽しんでもらっても嬉しいですね」
取材・文=小松香里
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