近かったことで気付かなかったことが見えることも
――StayHome期間の前と後で、人との距離感や付き合い方に関して意識は変わりましたか?
近くにいること、遠くにいること、両方良い部分があると思いました。
近ければ、心が通じ合うスピードは早いのかもしれないし、見えるところもあるかもしれない。でも、距離があることで一歩引いて見ることもでき、近かったことで気付かなかったことが見えることもある。
最近は外出自粛生活で人との距離が遠かったからこそ、近い方がいいと思いますが、近かった時に遠い方がいいなという考え方はなかった。なので、仲が良い関係性でも一歩外からも見てみようという考え方を持てるようになりました。
――今作の撮影は、10日間かつ夜の稼働なし、また最小人数でソーシャルディスタンスを保つなど、新型コロナウイルスの感染予防を徹底して行われたそうですが、新たな状況の中での撮影はいかがでしたか?
スタッフさんがすごく大変だと思いました。僕らは、本番はフェイスカバーやマスクを外したりしますが、例えばカメラマンさんは重い物を持ちながら、役者に気を使い、マスクを二重にして、フェイスカバーや手袋をしていて、ものすごく暑いはずなんです。
そういうところを見ていると、僕自身は大変だなと感じることはなくて、その中でよいものを生み出せるよう頑張るしかないと思っています。
――今作で特に印象的なシーンを教えてください。
劇中で、千秋が思わず美和さんを撮るシーンがありますが、花のあるベランダでの水川さんの空気感が本当に素晴らしくて。水川さんは人柄があふれていて、思わず撮りたくなってしまう人なんですよ。
千秋視点の美和のシーンだけを集めて作ってもいいと思うくらい、すごくステキな画なので、そこはぜひ見てほしい。僕と同じ気持ちを味わってほしいです(笑)。
――撮影の合間に、カメラで撮影することもありましたか?
そうですね。500枚くらい撮っていて、いい写真がたくさん撮れました(笑)。僕は、思い出は心に留めておこうと思うタイプなので、普段は携帯のカメラで撮る習慣などもなかったんですけど、自粛期間中にたまたまフィルムカメラを始めていたんです。
なのでこの役がきたのも、運命的な流れを感じていて。最近は写真を撮るようになりましたね。
フィルムカメラは昔、TOPCONという1950年代のビンテージのものを買っていて。友達と旅行に行った時に、そのカメラでたくさん撮影したのですが、フィルムの取り出し方が分からず、フィルムをちぎってしまって…。
それでダメだと思い使わなくなっていたのですが、外出自粛中、散歩がてら何かできないかと再び持ち始めて、路地などを撮影していました。
――StayHome中は他にどんなことをされていたのですか?
この期間が明けた後のことを考えていました。まとまった休みが取れる期間はなかなかないと思ったので、準備期間にしたくて。何かにつながればと、見られていなかった作品を見たり、活舌が悪くならないように発声練習をしたり。
あと、それまでは全くしていなかった料理もするようになりましたね。“ハンサム”というアミューズの若手俳優によるユニットでリモートライブをした時の待ち時間に、料理上手の石賀和輝くんに鶏の胸肉を煮込んだらいいと教えてもらって。
吹きこぼしたけど、おいしくできました。けど、仕事が始まってからはほとんどやれていないです(苦笑)。