――ドラマのオーディション場面では昭和の歌謡曲「船頭可愛いや」を歌いましたが、どのぐらい練習しましたか。
ボイストレーナーの方についていただいて、1時間半ぐらい練習しました。歌う部分はそんなに多くないので、あとは自主トレで補って…。やはり今の歌とはちがうので、こぶしのきかせ方などは難しかったですし、僕はそんなにいろんな声を出せるわけではないので、御手洗として歌うのはちょっと苦労しました。舞台のときはわりと太めの声を出せるよう意識していますが、この曲はそういうふうに歌っても違う。ほどよい緊張感はありながらもリラックスして臨めました。
――ところで、古川さんにとっての“ミュージックティーチャー”はどなたですか?
ひとりだけ挙げるなら、2013年、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」に出たときに歌唱指導をしていただいた先生です。その後も何度か舞台でご一緒し、本格的に歌を教えてもらいました。大人気の先生でなかなか予約も取れないですし、世界中を飛び回っている方ですが、今でも、空いている時間でレッスンしていただいています。歌の指導を受けるときって、つい頭で理解しようとしちゃうけれど、体を使った発声法を教えてくれます。「手をこう動かして」と指導され、そのとおりにやりながら歌うと、ぜんぜん響きが変わってくる。または、あえて英語で歌い、英語の発声を日本語の歌に取り入れるなど、そういったご指導のおかげで自分の歌の技術が変わったなと思いました。
――地元の長野県にいたときからダンスを習い、ダンスが先行してミュージカルへ。あとから歌を強化していったということですが…。
ミュージカルをやればやるほど、歌は深いなと思います。ちょっとのどの調子が悪かったり、少し体が硬かったりとかすると支障が出てしまうので、その難しさを感じます。今「歌って」と言われても60点ぐらいしか出せないんです。それなりの準備をして歌わないと難しいです…。けれど、たまに何かのスイッチが入ったかのように歌唱を楽しめることもあって…。それがいつでもできる人もいらっしゃるので、僕もその領域に達するため頑張らなきゃなと思います。
取材・文=小田慶子
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