以前から連続テレビ小説では、視覚障害のある人などのため動きや場面転換、テロップなど視覚的な情報を副音声で伝える“音声解説”を行ってきた。だが、この解説者にキャラクター設定はなく、“話者の主観”が入り込むこともほとんどない。
そんな中、6月29日から始まった異例の再放送では、すでに内容を知っている視聴者も楽しめるよう、“登場人物視点による副音声での音声解説”が企画された。第1~6回を山崎育三郎“久志”が、第7~12回は松井玲奈“吟”が、第13~19回は森山直太朗“藤堂”が担当。そして第19回からは音(二階堂ふみ)の声楽コーチである御手洗清太郎が担当している。
“音声解説にキャラクター設定を持ち込む”という斬新なアイデアをさらに膨らませたのが、同作の中でも飛びぬけて個性豊かなキャラクターたち。
久志はちょっぴりキザな調子に幼なじみ・裕一への思いを忍ばせ、音の姉・吟は達者な三河弁で愛嬌たっぷり、藤堂は教え子・裕一を心配する親心を前面に押し出してドラマに新たな味を加えた。
そして今週は、御手洗によるヨーロッパの香り漂う英語混じりの解説。それぞれが独自の世界観を展開し、視聴者に初見時とはまた違う印象を与えることに成功している。
本放送の再開が待たれる一方で、「展開知ってるけど副音声が楽しみでつい見ちゃう」「このまま副音声企画を楽しんでいたい」という声も。副音声企画は、放送休止というピンチをチャンスに変えた「エール」製作陣の大ホームランと言えそうだ。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)