極悪高校の番長を演じる柳楽優弥「栄信さんはとっても心強い相棒」<今日俺連載その12>
動き回る柳の後ろから、大嶽が静かに敵をぶっ飛ばしていく
――柳と大嶽のコンビネーションが絶妙です。
柳楽「柳は敵に向かって突進していくタイプですが、大嶽に後ろからリードを持って扱われている気分でした。静と動みたいな感じ。動き回る柳の後ろから、大嶽が静かに敵をぶっ飛ばしていくイメージがありました。心強いバディでしたね」
栄信「現場では具体的にそういう話はしませんでしたが、そういう見え方でいいのかなと僕も思っていました。この作品の中にはいろんなバディの形があって、その中で一番残虐性に振り切れているようにしたかった。智司(鈴木伸之)と相良(磯村勇斗)のバディより非道な雰囲気を、柳と大嶽の関係性の間で出せたらいいなと。仲良しこよしという感じではなく、ちょっとしたセリフを言うときでもお互い聞いているのか聞いてないのか分からない、というようなニュアンスでやっていたので、それが見ている方にも伝わればいいですね」
柳楽「それにしても、後ろにこんなにヤンキーの集団を引き連れている状況って普通ないじゃないですか。それは俳優をやっていて面白いところだなと思いましたし、本当に自分が強くなったんじゃないかと錯覚しました(笑)」
――福田監督の現場の雰囲気はいかがでしたか?
柳楽「やっぱり面白いですね。自粛期間中にも福田監督のドラマを見ていましたけど、見ていてほっとする作品だし、福田監督自身が楽しい人だから、いい現場だと思います」
栄信「僕は初めてご一緒させていただいたんですが、俳優部の皆さんと和気あいあいとやっているイメージがあったんですよ。でも、僕は全然話してもらえなくて…。現場でもほとんどしゃべってないんじゃないかなあ。(プロデューサーの)高(明希)さんから『監督、人見知りするから』と聞いたときに合点がいきましたけど(笑)」
柳楽「もちろん仲良くやろうという一面もあるけれど、コメディー作といいつつも『みんなちゃんとプロの俳優でしょ?』ということが前提にある方だと思うので、一定の緊張感もあって、それはすごいバランスだなと感じます」
栄信「皆さんがうらやましいです…。僕も撮影中に食事に行って仲良くなりたかったですし、皆さんとしゃべっているときのような感じで接したかったです(笑)」
取材・文=Rum