<試写室>「未解決の女」Season2の安定感! メモ1枚からひもとく波瑠たちの機転&執念にスッキリ
「刑事たちのキャラクター」が明確!
刑事モノの“Season2”にハズレなし。
こんな仮説を、テレビ誌記者新人のときに先輩から聞いた。先輩は「踊る大捜査線」(フジテレビ系)で織田裕二が着ていたのによく似た、緑色のコートを愛用していた覚えがある。
続編が作られるほどだから、1作目から良作だったのでは?と思い、聞き流してしまったことを後悔している。先輩が考える理由は何だったんだろう。しかし、十数年がたち、ドラマの視聴回数も当時より格段に増えた筆者は、その仮説の根拠に気付けたような気がする。
今夏スタートの「未解決の女 警視庁文書捜査官」も、刑事モノの“Season2”。初回の2時間スペシャルを一足先に視聴したのだが、私はそのテンポの良さに驚いた。
体力と柔術に自信のある“肉体派”刑事の朋と、「文字の神様が下りてきた!」が口癖の文字フェチ“頭脳派”刑事の理沙というキャラクターがしっかりと確立しているためか、難事件の解決という物語の本筋に集中することができ、あっという間の2時間だった。
人気の刑事ドラマというのは、「練られた謎解き」「刑事たちのキャラクター」「事件関係者に秘められた心情」という3要素がバランス良くまとまっていることが多い。今作も条件にピッタリとハマっている。
朋と理沙以外にも、警視庁捜査一課「特命捜査対策室」の室長・古賀清成を演じる沢村一樹を筆頭に、工藤阿須加、山内圭哉、高田純次、遠藤憲一ら、おなじみの濃厚男性キャスト陣が続投。
さらに、以前放送されたドラマスペシャルに京都府警捜査一課の刑事・国木田役でゲスト出演した谷原章介が“6係の新係長”となって再会したり、皆川猿時がコメディー魂全開で、イヤミ室長・古賀を補佐するなど新レギュラーもズラリと顔をそろえている。「刑事たちのキャラクター」は説明不要の安定感だ。
基本的に刑事ドラマは、事件発生から解決までが1話完結で描かれる。前後編に分けられている特別編などもあるが、レギュラー放送の多くは、その回を見れば視聴者が内容に置いていかれることなく楽しめるものがほとんど。
刑事モノの“Season2”になぜ、ハズレが少ないのか。それは、物語の設定やキャラクターの説明要素を簡略化して、すでに整った状態から「謎解き」部分を真っ向勝負で描ける点にあるのではないだろうか。