UFC最新大会、メインは「ミオシッチvsコーミエ Vol.3」! 完全決着戦のゆくえを“世界のTK”が展望

2020/08/15 22:06 配信

芸能一般

相手を知り尽くした二人が見せる「新たな戦略」とは?


――今回は、お互い手の内がしっかりとわかった上での3試合目になると。

高阪:だからこの3試合目はお互いやりづらいと思うんです。コーミエからしたらボディブローのディフェンスはしっかりと準備してくるでしょうけど、ミオシッチもそれを見越しているから、そのままボディ狙いでくるとは考えにくい。また、相手の攻撃に対処するというやり方だと、どうしても後手後手に回ることになりますから。

――となると、先の先を読むというか、また新たな戦略を考えなければならないわけですね。

高阪:そういうことです。だからコーミエ側からすると、抜群のレスリング力を持っていながら、1回目も2回目もそこまでタックルを混ぜてくることはなかったし、グラウンドコントロールに徹することはやっていないので。前半は寝かせたり、ケージレスリングで体力を削っておいて、後半、打撃勝負を仕掛けるということも考えられます。

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――コーミエ自身も「今回はテイクダウン地獄を味わわせる」と言っています。

高阪:テイクダウンまで行かなくても、ケージに押し付けてのコントロールも容易でしょうからね。ケージに押さえつけられているだけでも体力は奪われているので、そこもミオシッチは気をつけながら試合をしなきゃいけない。

だからコーミエの攻撃にミオシッチがどう対応するか、という展開になると思うんです。普通、挑戦者が王者への攻略法を練るものですけど、この二人に関しては、王者の方が対策に時間をかける必要がある。

――確かにコーミエにとって、ミオシッチのような長身(193cm)のストライカーは、今までライトヘビー級時代も含めて何度も戦っていますが、ミオシッチにとってはコーミエのような体の小さいトップレスラー(180cm)との対戦というのは、コーミエだけです。

高阪:だからコーミエ相手の時だけ、練習内容も試合の組み立ても変えなきゃいけない。またパンチの使い方がコーミエは独特なんです。基本、ジャブと右ストレートですが、微妙な距離設定なんですよ。

普通、こんな身長が低い選手は、ここにパンチは届かないだろうっていうところにも届いてしまう。だから、コーミエのパンチが届く距離を、いかに外して自分の打撃を入れることができるかが、ミオシッチとしてはひとつポイントだと思います。

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――また、コーミエはクリンチもうまいです。

高阪:ただ、ミオシッチも2回目の試合の時、コーミエが前に出て組もうとしてきたところを、サイドステップで体を入れ替えるシーンがあったんです。

前からその動きをやっていたのですが、組みに来る相手に至近距離でそれができたというのは、ミオシッチにとっても収穫だったかもしれない。

1試合目の時は、組みにきたコーミエを前に押し返すか、後ろに下がるかしかやってなかったんですが、「横にずらすと相手がこんな簡単にいなすことができるんだ」という感覚がつかめていたら、あの“いなし”の技術は一つのキモになるかもしれない。

――そこで組ませずに、コーミエにペースをにぎらせなかったら、ミオシッチがKOする可能性も高まるという。

高阪:そうですね。組もうとしたところをいなされると、絶対に対応が遅れるんですよ。そういう時に打撃をもらったりするものなので。

だからスタンドの攻防も、単純に打撃だけでなく、そういった組みも交えた探り合いという、高い次元での攻防が見られるんじゃないかと思います。

――ヘビー級だけれども、大味ではなく細かい技術も駆使した試合になるだろうと。

高阪:そうです。ですから、今回はヘビー級の迫力はもちろんですが、細かい技術の攻防までじっくりと見てほしいですね。