「1億点分の許諾を取っています(笑)」
――岡山さんは、映画の脚本を読まれて、どう思いましたか?
岡山「え!SFなの⁉と。シーズン1をやった身からすれば、かなり変化球で、振り切っている設定だと思いました。脚本を読んでも、あまり実態がつかめない感じでしたが、監督からお話を聞かせてもらい、僕がどう向き合っていけば、面白く受け入れられるんだろうと考えていきました」
――いながきさんは、以前にヴィレヴァンで働いていた時のエピソードを脚本に入れたとか。バイト募集条件に「かめはめ波が撃てる⼈」とあるとか、趣味に「人殺し」と書かれた人が採用されたというのも、実話なんですね!
岡山「僕も、シーズン1の打ち上げで、内容はほとんどきよたかさんの経験談だとお聞きして、びっくりしました。まさに“事実は小説より奇なり”で、僕自身もここまで実話の割合が高いとは思っていませんでした」
監督「そこが、ドラマで伝わりきれてなかった点が唯一の反省点だなと。実話に基づくというよりは、ほぼ実話を並べただけです」
いながき「僕の経験談ですが、実際に入れたかった内容の6割に過ぎなくて、あとの4割はとても外には出せない内容です(笑)」
岡山「一番浮世離れしている川上店長(滝藤賢⼀)にもモデルがいたことは、撮影終了後に知りました。あんなに面白い現実が起こるんですね。何人か寄せ集めで作った人物かと思ったら、本当にそういう方がいたなんて!」
――劇中に登場するドラマや映画、本、商品も、すべて本物ですね。
監督「何が一番すごいかというと、画面に映っているお菓子や商品、ロゴに至るまで、全て許諾を取っている点です。参考のために、ヴィレッジさんに『店の商品は、何点ぐらい扱ってますか?』と聞いたら、『1億点です』というザックリとした答えが返ってきたので…『1億点分の許諾を取って放送しています(笑)」
――ドラマに続き、様々なサブカルがフィーチャーされますが、後藤監督はサブカルについてどう思われていますか?
後藤「メジャーカルチャーあってのサブカルチャーという点が、すごく重要なテーマだと思っています。例えば90年代だと、みんなが観ているトレンディドラマや、小室(哲哉)サウンドなどがあって、そことサブカルが上手く共存していたような気がしますが、いまの時代は、その境目がなくなってきて面白くない気がします」
いながき「僕の感覚だと昨今は、役に立たないものじゃないとダメだという感覚があるような気がしています。でも、そうじゃないんだ、ということが、シーズン1から根底にあるテーマだと思います。
僕自身、自分のことを役立たずだと思うところがあるんですが、ヴィレヴァンは、そういう人たちにも居場所があっていいじゃん、と言ってくれている気がします。映画版では、そういう人たちが迫害されたらどうなるのか?というところが出発点になりました」
――そこで立ち上がる杉下は、気がつけば、すっかりサブカルの旗手となっていました。
岡山「そうですね。もはやシーズン2や映画版では、すっかりマイノリティーなサブカルサイドにいて、不当な扱いを受けています(苦笑)。ただ、ドラマから演じてきて、同じ役だけどちゃんと成長している点がうれしかったですね。ぜひ、そのへんも楽しんで観ていただきたいです」
取材・文/山崎伸子
https://www.nagoyatv.com/vv_movie/
出演:岡山天音、森川葵、最上もが、本多力、柏木ひなた(私立恵比寿中学)、水橋研二、落合福嗣、小林豊(BOY SAND MEN)、大場美奈(SKE48)/萩原聖人、安達祐実/・平田満・滝藤賢一
監督:後藤庸介 脚本:いながききよたか 制作:コギトワークス 配給:イオンエンターテイメント
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