――「他人の血を見たい」という強い欲求を持つ光莉(祷キララ)と逃亡する役ですが、祷キララさんとの共演はいかがでしたか?
笠松「役柄として出会っているんで、『怖い子なのかな、ヤバイ子なのかな』と思っていましたけれど、普段話してみると、ニコニコ笑ってくれるし、『今日は大変なシーンがあるから力を抜こう』とかでなく、常に全力で、目の前に起こっていることに対応している感じがかわいいなと思っていました」
――完成した作品を見てどう思いましたか?
笠松「脚本を読んだ時や撮影した時よりも、シンプルに面白かったです。その面白さは全然100点満点じゃなくて、粗探しをすればいくらでもあるんですが、突き抜けた何かがあるんです。すごく高度なことをしているなと思うことが。熱量だとか泥臭さだとかそういうことじゃないんです。主人公は最後に笑うんですが、人殺しをしたから最後笑えるんです。走馬灯というか。楽しい青春を思い出せる。でも殺しをしていなかったら、七尾さんと出会っていなかったら、こいつ死ぬ時笑えていないと思うんです。すっごく表現が難しいですけれど、この主人公の個人だけの世界にぐっと狭めた時にそれでいいと思いました。そう思えるなんてすごく高度なことをやっている気がします」
――メッセージをお願いします。
笠松「出る側として、インディーズ映画も好きだし、低予算映画も好きだし、初監督作品も好きだけれど、もうしばらくできないんです。今までそういうフィールドでやってきたから次は別のフィールドでやってみようという考えで、こういう規模感で僕のことが観れるのは一旦最後です。有名人しか出ていない映画を『観ました』と言っていただくのも有難いんですけれど、『「ファンファーレが鳴り響く」を観ました』と言っていただくと『おっ』ってなります。『主役僕だよ』と思います。
低予算で撮ったし、100点満点の作品ではないし、別の表現方法もあったんだろうけれど、結構この作品が好きです。突き抜けているところがあるんです。一度見ていただきたいです。見ていただいて面白くなかったら、今後二度と僕の作品を見なくても大丈夫だと思うほどです」
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