ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020のオープニング作品として上映された森田和樹監督の最新作『ファンファーレが鳴り響く』が、新宿K’s cinema他にて公開中。
森田監督は、病気のせいで仕事の面接で面接官に相手にもされなかったときに、吃音症についての動画を見て、吃音症の主人公に自分を重ねて作品を執筆。いわば、監督自身の人生を投影させたスプラッター青春群像劇だ。
初長編『されど青春の端くれ』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2019 にてグランプリ&シネガーアワードの二冠を受賞し、本作で商業映画デビューとなった森田和樹監督に、本作についての思いを聞いた。
――以前「ニュースを見ては伝えたい事が出てきて、自身の欲を沢山入れたのが今作です」とコメントされていましたが、具体的にどのようなニュースに触発されたんですか?
森田和樹「過去のニュースを含めてなんですけれど、女子高生のコンクリート殺人もそうですし、酒鬼薔薇事件などの少年犯罪、最近で言えば、アキバの無差別殺傷の事件だったり、座間の9人の殺人事件だったり、そういったもので、自分勝手な人たちがいっぱいいて、何も関係ない人たちが不幸になってしまうという不条理を、変えたいというよりも皮肉ってやろうという気持ちが強かったです。
実際の事件を元にしたら、被害者の方がいるので、それはできないなと思い、自分の中でもしかしたら起こるんじゃないかと想像する事件を描きました」
――笠松将さん演じる明彦が吃音症で、川瀬陽太さん演じるお父さんからも理解されていないという設定のお蔭で、明彦に同情しながら見ることができましたが、吃音症というアイデアはどこから出てきたんですか?
森田「僕自身は吃音症ではないんですけれど、病気で薬に生かされているというのがあって、病気を患い、治療し、資格を取って、就職面接をした時に、面接官に病気のことを話したら、『それだったら無理だね』と言われ、自分が社会的弱者だという自分の立ち位置に気づきました。
吃音症の人が抱えているものとは違うかもしれないけれど、たまたま動画を見て、自分の中でリンクして感情移入しました。物語を作る時に、自分を投影したかったので、自分の病気を投影するよりも、吃音症の人の気持ちを投影したいと思いました」
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