被災地を走る間寛平と被災したディレクターの熱き思いが昇華したドキュメンタリーが完成
日本テレビでは、お笑いタレント・間寛平が東日本大震災の被災地である岩手、宮城、福島の3県462kmを縦断して走る姿に密着したドキュメンタリー「リアル×ワールド 激走462キロ！ 間寛平 被災地を走る」を10月6日（土）に放送する。
同番組は、「24時間テレビ」恒例の24時間マラソン初代ランナーにして、世界一過酷と言われるスパルタスロンを3回走破、昨年には「目立ちたいから」と、「アースマラソン」で地球一周という前代未聞のことを成し遂げた寛平が、被災地に元気を届けるために企画された。被災3県を地元住民と触れ合いながら全行程を9日間で走破する。
この情報を聞きつけて密着取材することを決めたのは、日本テレビのディレクター・武澤忠氏だ。武澤氏自身も被災地・福島出身で、実家には現在も実母・順子さんが住んでいる。先般、順子さんの被災体験日記を1冊にまとめた書籍「生きてやろうじゃないの！」（青志社）を武澤氏との共著として刊行、重版となり現在も広く読まれている。
今年8月13日、寛平は岩手県山田町をスタート、被災した沿岸部に沿って走り始めた。連日35度を越す猛暑で、アスファルト上の体感温度は40度を越すという過酷な状況だ。そんな中、寛平は地元住民と触れ合いながら、1日約50kmを走り抜いていく。
寛平は休憩の間もファンサービスを忘れず、サインや写真に気さくに応じ、ろくに休みもしないまま再び走り出す。そんな寛平の気遣いに心を打たれ、いつしか沿道には寛平を応援する長蛇の列ができるようになった。
寛平はただ走るだけではなく、夜には仮設住宅を訪れて住民たちの前で疲れも見せずに被災者たちに笑いを届ける。前立腺がんを患い、63歳の肉体は少なからず悲鳴を上げているはずだが、歩みを止めない。
北から南へ縦断していく中で、津波で亡くなった妻の責任を1人で感じ続ける老人をはじめ、自分の止めるのを聞かずに人助けに行き、津波に呑まれてしまった夫を恨む未亡人、震災の日に生まれた新しい命、放射能によって家へ帰れなくなった福島の高校生たちに出会う。番組では、そんな人たちがぶつかったそれぞれの「壁」も映し出す。
9日間の取材で170時間を越すテープを回した武澤氏は、「被災地を走る芸能人を、被災地の人たちはどう受け止めるのか、温かく迎えるのか、あるいはそうでないのか、始まる前は分からなかったので怖かった。その不安は寛平さん自身もあったと思います」と、当初の心境を素直に打ち明けた。
ただ、取材を進めて行くと「想像以上に温かく迎えられ、みんなが『ありがとう』と言ってくれることに驚きながらも、うれしかった」と、自分の選択が正しかったことを確信していく。
この番組を制作するに当たり武澤氏は「“取材者”と“取材対象者”の距離感を大事にしました。このドキュメントはディレクター自身の主観で正直に伝えたいという思いがあったので、一切の“タレントヨイショ”的スタンスは排除し、被災地出身者として対峙」するというスタンスを大事にした。それでも数日後には「その距離感が日に日に縮まっていくのを感じた」と、思いを1つにしていく。
最後に武澤氏は、「これは単なる“マラソン密着ドキュメント”ではありません。被災地を走ろうというお笑い芸人の真意に迫るべく、福島で実家が被災した被災地出身のディレクターが時に衝突しながらも本音でぶつかり、共鳴していく…。“完全ディレクター主観”の挑戦作です。新たなドキュメンタリーの1つのやり方に昇華できればと考えています。また、その手法でこそあぶり出せた“被災地のリアルな今”を伝えられたらと思います」と、自信を持ってPRした。
被災地を走るタレント、それを追うディレクター、被災者たち、それぞれの“今”の思いが詰まった渾身のドキュメンタリー作に仕上がっている。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
2012年10月6日（土） 10:30～11:25 日本テレビで放送
