Dlifeで4月5日(土)、6日(日)に放送される特別番組「池上彰のワールドニュース深読みスペシャル」に出演する、ジャーナリストの池上彰が東京・港区のスタジオで取材陣のインタビューに応じた。
同番組は、過去1年間で放送したBBCワールドニュースから映像を使用し、世界中で起きた政治、経済、事件、事故などさまざまな出来事を振り返りながら、その背景や本質を深く掘り下げていく。1つ目のテーマは「世界の安全保障」。シリアの内戦や化学兵器使用問題を取り上げ、世界の紛争のニュースが、日本人の生活にどのようにつながっているかを解説する。2つ目のテーマは「世界の経済問題」。各国が抱える政府債務の課題について、日本の消費税率アップも踏まえ、'14年の経済の注目点を示す。池上のほか、ゲストには鈴木浩介、春香クリスティーンが出演する。
番組でニュース解説者として出演する池上は、「BBCに膨大な映像がある中で、何ができるんだろうかと考えた結果、海外のニュースが回りに回って日本に影響して来るという面白さを出せればいいよね、ということになりました。遠くの紛争がきっかけとなって自国の安全保障に関わってくるとか、南米の暴動が実はアメリカの金融緩和につながって、それがさらに日本の金融緩和にもつながってくるという連動性が分かるものをまず選び出そうということで、このテーマになりました」と、今回のテーマを考える上で重視した点を明かした。
また、「日本の国内で流れる国際ニュースって非常に少ないんです。『遠い国で何か起きているらしいよ』っていう伝え方が多いですよね。ところが、例えばイギリスのBBCですと、イギリスあるいはヨーロッパから見た“ものの見方”だったり、CNNやFOXニュースだと、アメリカからの“ものの見方”というのが出てきますね」と、日本メディアと海外メディアの相違点を挙げ、「世界各地で、ほぼ同時多発的にいろんな暴動が起きたりしたら、原因はなんだろうと疑問を持って調べていくと、世界が本当につながっているんだなってことが見えてくるんです。それが少しでも分かると、質の良いミステリーを読んでいるような気持ちになるんですよ。“謎解き”というのが大変面白いなと思いますね」と国際情勢を分かりやすく読み解く“コツ”を伝授した。
さらに、国際情勢と海外ドラマの関連性について「(Dlifeで現在放送している)『ホームランド』だと、'01年のアメリカ同時多発テロ以降、アメリカ軍がアフガニスタンやイラクに進出しているということを背景にできていますよね。海外のドラマって、海外の大きな事件や事故を背景に作られているドラマがいっぱいありますよね。ドラマ自体が面白いわけですけど、その背景を知っていると、より面白く見ることができます。なんとなく見逃してしまうようなせりふでも、『あぁ、あそこにはこういうことがあるんだよね』って。だから、場合によっては伏線を見抜くことができるんです。そういう意味では、国際ニュースってすごく面白いんです」と見解を述べ、「リーマンショック以降、世界経済が混乱する中で、各国が経済をなんとか立て直そうとする動きによって、逆にユーロ危機というものが起きたわけですよね。いろんな出来事が連動することによって、大きなニュースが起きる。ということは、リーマンショックを下敷きにしたドラマが生まれてくるだろうし、ユーロ危機、あるいはEUの問題を背景にしたドラマがこれから出てくるでしょう。その時に『あぁ、あの話だね』と、より興味深く見ることができると思います」と、今後の海外ドラマに期待を寄せた。
最後に、「この番組を見ていただければ、国際ニュースを読み解くと、身近なことなんだなと分かっていただけると思います。遠い世界の難しい話と思っていることも、きちんと分かりやすく説明していくと、分かりやすい話だし、身近な話なんだよと。そういうことをみなさんに知ってほしいですし、私はその案内人役をやっているつもりです。この番組をきっかけに、国際ニュースの読み解き方の一つの方法をご提示しました。他にもあるはずなんです。この番組をヒントにして、皆さんがそれぞれで考えていただくというか、推理していただくということですね。この巨大な謎を推理して、解きほぐしていこうという、まさに良くできた海外ドラマを見るのと同じだと思います」とメッセージを送った。
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