「ザ・ノンフィクション」放送700回！「SL銀河」に乗った3組の“人生”を追う
'95年10月に放送を開始したドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」(毎週日曜昼2:00 フジテレビ)が、6月8日(日)放送で700回を迎える。放送700回記念の特別番組として、“希望”をテーマにした『終着駅の名は「希望」～SL銀河 心の旅～』を放送する。
東日本大震災から3年経った岩手で、ことし4月12日に蒸気機関車が復元され復活した。その機関車は宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」にちなみ、「SL銀河」とネーミングされた。「SL銀河」は宮沢賢治ゆかりの岩手釜石線(花巻～釜石)で運行。復活には、東日本大震災の被災地である東北の復興への願いが込められ、観光面から地域の活性化を促すという狙いもあった。
「ザ・ノンフィクション」ではこの「SL銀河」に乗ってみたいという人にスポットを当て、およそ1年前から取材を開始。ことし5月17日、4人の旅人がこのSLに花巻駅から乗り込んだ。見知らぬ同士の乗客が“ある思い”を秘めて「SL銀河」の同じ客車で旅をする様子を映し出す。
●金澤誓予古(ちよこ)さん(60)の場合 誓予古さんは盛岡でカラオケスナックを経営。店内にはステージがあり、客を盛り上げるための楽器や小道具、衣装までそろう、知る人ぞ知る隠れた人気店。しかし、創作舞踊家である誓予古さんが、そのステージで舞を披露することはほとんどなかった。かつて、岩手県宮古市金浜に住んでいた誓予古さんは、三陸一帯で自分の創作舞踊を教えていたが、'11年3月11日に東日本を襲った巨大地震と大津波は、誓予古さんの人生に大きな影を落とす。当時三陸一帯におよそ200人いたお弟子さんの大半と、店の常連客など多くの知り合いを失ったのだ。自分だけ助かってしまったという自責の念に駆られた誓予古さんは、人前で踊ることができなくなってしまう。だが'13年4月に、陸前高田出身の演歌歌手が被災地の松原に奇跡的に一本だけ残った「一本松」を歌った歌を聴いて感動し、舞踊家として、一人の人間として動き始めた。陸前高田をはじめ、舞踊教室のあった被災地を巡る誓予古さんの鎮魂の旅が始まった。亡くなった方たちを弔い、生き残ったかつてのお弟子さんたちを訪ね励ます千代子さん。それは彼女自身が舞踊家として再生していく姿でもあった。
●菊地広隆さん(31)の場合 広隆さんは釜石市で和菓子を作る町工場「小島製菓」の3代目。現在31歳という若さで従業員7名の和菓子工場の社長を務めることになったのには、深い理由があった。3年前の大地震の時、広隆さんはカナダで和菓子を売ろうと悪戦苦闘しており、震災で釜石が被害を受けたと聞いた時も、帰国しなかった。そんな矢先、父の實(みのる)さん(67)が、過労や精神的な負担が重なり倒れてしまう。「オヤジに申し訳ない」と、広隆さんの奮闘が始まる。広隆さんは、「SL銀河」が観光促進目的で釜石まで来ることを知ってチャンスだと思い、新商品の開発に着手。広隆さんは、試作品をJRの売店に持ち込み営業活動も行った。そして、新商品を手に、父・實さんが入院している病院へ。久々の対面で、菊地さん父子はどんな反応をみせるのか…。
●小原信一郎さん(84)の場合 「SL銀河」の車両、C58形式蒸気機関車は、'38年から'47年にかけて製造された機関車で全国各地のローカル線で活躍。復活した「SL銀河」は'43年5月から沖縄の山田線で活躍した。信一郎さんは、その時山田線でこの蒸気機関車を運転していた蒸気機関士だった。子供のころから蒸気機関士に憧れ、念願の機関士の資格を取得したのは昭和32('57)年、27歳の時。以来、退職するまで41年間鉄道とともに生きてきた。国鉄を退職後、フルムーンパスを使って全国47都道府県を妻のタイさん(82)と回ってきた小原さん。しかし'11年、80歳になったタイさんに胸腺がんが見つかった。'12年1月に手術し、その後1年を経過して、現在は3か月に1回の経過観察のために病院に通っている。信一郎さんは、タイさんと一緒に「SL銀河」に乗りたいと思っていた。「最後の思い出を作りたい」…二人にとって最後の旅になるかもしれない旅をするため、二人は「SL銀河」に乗り込んでいく。
花巻駅を出発した「SL銀河」が釜石駅に到着するまでの間に、3組それぞれの人生模様が展開され、大震災を乗り越えようとする“希望”が描かれる。ことし10月には20年目に入る「ザ・ノンフィクション」の節目となる番組で、その“希望”に触れてみよう。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
放送700回特別企画
「終着駅の名は『希望』～ＳＬ銀河 心の旅～」
6月8日(日) 昼2:00-2:55
フジテレビで放送
【HP】www.fujitv.co.jp/thenonfx/
