ことし4～6月に日本テレビ系で放送されたドラマ「トクボウ 警察庁特殊防犯課」。伊原剛志が50歳にして連続ドラマ初出演を果たした本作は、伊原が演じる警察庁生活安全局特殊防犯課指導係警視・朝倉草平が世にはびこる法では裁けない悪事を「矯正執行」の名の下に断罪し、悪人を縄で縛り上げてお仕置きするという異色の刑事ドラマで、毎回の「矯正執行」シーンと合わせてコアなファンの人気を獲得した。
また朝倉の“縛り”は日本を代表する緊縛師・有末剛氏が監修し、名高達男や石垣佑磨、さらに吉田鋼太郎までもが縄で縛り上げられ、放送時に話題を集めた。そこで回はDVD-BOX発売を記念した有末氏と演出のひとり・植田尚氏のインタビューの後編では、さらに深く“縛り”について語ってもらった。
―――前編では名高達男さんや吉田鋼太郎さんを縛られた際の話がありましたが、他にも印象に残っている縛りはありますか？
有末：松下(洸平。朝倉の相棒・辻役)くんのときも良かったね。本当に身動きできないぐらいにカッチリ縛らせてもらいました。彼も縛られるのはそんなにイヤじゃないだろうなって縛っていて感じましたよ。ははは。
―――女性を縛る回もありました。
有末：女性を縛るときは、何か違うことばかりを思わせてもダメだから、真剣な縛りにするためにギリギリの線でせめぎ合ってましたね。
植田：同じことは全話で言えるんですけど、ヘンなように見られてしまわないようにする調節は現場で試行錯誤していました。女性を縛ったときに、単にエロく見えるとダメになっていまいますから。
―――さらに劇中では車など、人間以外を縛ったりもしていました。
有末：初めての経験でしたよね。僕もいろんなものを縛ってきたんですけど、人間以外にも縛ってみたら面白いだろうなあとは思っていたんですよ。人以外を縛るときは細部まで縛らないと面白くないなと思って、時間をかけて車体全体を縛ったのを思い出します。
植田：個人的に面白かったのは、車輪だけはタイヤチェーンみたいに分けて縛ってたんですよね(笑)。
有末：それがテレビ的でいいじゃないですか。というか、朝倉はなんで車を縛ろうと思ったんだよって話になるからね(笑)。
―――ははは。あと、劇中には朝倉が縄を手入れするシーンもありましたけど、あれも実際の縄の手入れの仕方そのままなんですよね。
有末：そうそう。あそこの部分をちゃんと映してくれるのも珍しいよね。
植田：それは僕がぜひシーンとして入れたかったんですよ。緊縛師・朝倉のリアルな日常を描きたかったので、縄をゆでたり干したりしているシーンもぜひ入れましょうと。
―――緊縛に対して本当に細かいところまでこだわられていたんですね。伊原さんは縛りに対してどのような反応をされていましたか？
有末：伊原さんは最初会ったときから「縛りのこと、教えてください」って言ってくれたんですよね。縄さばきも様になっているし、どんどん自分でもやるようになっていました。
―――伊原さんには緊縛師としての才能もある。
有末：あるんじゃないですかね。センスがすごくいいんだと思います。やるやらないは別としてね(笑)。
―――ははは。では最後に、縛りの視点を交えた「トクボウ」の面白さを教えていただければなと思います。
植田：入り口は朝倉の独特なキャラクターだったりがコメディータッチになってるんですけど、見てみると時事問題を取り上げた骨太なドラマなんだな、というのを分かってもらえるような作りができていると思います。伊原さんや松下くん、(安達)祐実ちゃんたちキャストの人とも同じ方向を向いて作ることのできたドラマなので、ぜひ見ていただきたいです。
有末：ドラマでシーンが変わるといきなり縛られているシーンになっているのを見て、そのインパクトの強さには感心したんですよね。もちろん緊縛は造形美の世界ですから、形にもこだわっているので見てほしいし、緊縛を知るきっかけにしてくれたらうれしいですね。
DVD-BOX「トクボウ 警視庁特殊防犯課」は全話収録＆実際に緊縛をしている様子も収めた特典映像付きで発売中。
この記事の関連情報はこちら（WEBサイト ザテレビジョン）