藤本泉が語る、川崎の街と“オカマの安田顕”の魅力とは
10月4日、映画「小川町セレナーデ」が東京・角川シネマ新宿と神奈川・チネチッタ川崎にて公開された。
「小川町セレナーデ」は神奈川県川崎市を舞台に、潰れかけた場末のスナックを経営する真奈美(須藤理彩)とその家族や常連客たちの生活を通してさまざまな「家族」の姿を描くヒューマンストーリー。監督・脚本を今回が映画初監督となる原桂之介が、エンディングテーマはももいろクローバーZの妹分としても知られるアイドルグループ・私立恵比寿中学が担当している。
そして真奈美の娘で、安田顕演じるオカマのエンジェルと共にスナックの再起を目指し“偽オカマバー”としてお客を呼ぼうと奮闘する小夜子役を演じるのは藤本泉。昨年「刑事のまなざし」(TBS系)、「ノーコン・キッド-ぼくらのゲーム史-」(テレビ東京系ほか)など数々のドラマに出演、'15年1月にはサンテレビ開局45周年記念ドラマ「神戸在住」で主演を務める気鋭の若手女優も、劇中で“偽オカマ”姿に扮し、ダンスを披露するなど体当たりの演技を見せている。
そこで今回、藤本にインタビューを敢行。作品の魅力や撮影時の須藤らとのエピソードを語ってもらった。
―――まずは藤本さんが演じられる小夜子について教えてください。
小夜子は素直な子だと思います。表向きにちょっとひねくれているのは、やっぱりお母さんの真奈美がスナックのママでシングルマザーという境遇が小さいころからコンプレックスになっているからだと思うんです。そこはある意味子供で、ちょっとおバカなのかな(笑)。
―――「小川町セレナーデ」は川崎市が舞台ですが、川崎という街にはどういう印象を持ちましたか？
実は川崎には撮影が始まるまでほとんど行ったことがなかったんです。でも、監督の書く脚本がリアルなので、撮影に入る前に台本を読んだときから川崎に親しみを感じていました。
―――撮影には川崎に住む人も参加されたんですよね。
そうなんです、皆さん本当に温かくて。川崎のいろんなところで撮影したんですけど、初めて来た場所なのにどこか懐かしいような感じがました。あと屋上でのシーンのとき見渡した景色が、工場地帯、古い街並み、新しい駅…という、いろいろなものが交じり合っていていい街だなあって感じました。
―――他にも現場の温かさを感じたエピソードはありますか？
気持ちがいつもひとつになっていた現場で、小道具ひとつでもみんなが心を込めて作っているんです。たとえば「スナック小夜子」のシーンで使っている髪飾りもメークさんの手作りだったりするんですよ。それで私も自分のビーズを持っていってメークさんに髪飾りを作ってもらったりしていて…あの温かな現場の雰囲気というのは、監督の脚本や人柄にあるんだと思いました。
―――なるほど。母の真奈美さんはどんな女性だと思いましたか？、
真奈美さんはわりと子供を放任する母親。だから一見冷たいように見えますけど、まったくそんなことはなくて、小夜子に対する愛情は人一倍ある人だと思いました。
―――真奈美を演じる須藤理彩さんとは演技やストーリーについて何かお話をされたんですか？
真奈美と小夜子が家族について語るシーンがあって、台本では真奈美のせりふの方が多かったんです。でも須藤さんは「真奈美はこういうときに、ここまで多くを言わないと思う」と提案されて。それで監督とすごく話し合って「奥底で心が通じあっているから、大切なときにはむしろせりふはいらないね」という結論になったんです。その須藤さんの提案は今でもすごく印象に残っています。
―――もうひとり、安田顕さんが演じるオカマのエンジェルさんとの出会いも小夜子にとって人生の転機になりますが…。
小夜子はエンジェルさんにすぐに懐いて、私も現場で安田さんと親しくさせていただきました。撮影のとき安田さんは他の作品で全然違う役柄を演じてらしたのですが、「小川町セレナーデ」では現場に入られたとたんにもうエンジェルさんだったんです(笑)。
―――ははは。
控室で一緒にいるときもエンジェルさんでいてくださったのですごく接しやすくて。だから今でもお会いするとエンジェルさんに会っているような感じがしますが、エンジェルさんは高い声で、普段の安田さんは低くて格好いい声じゃないですか。今、そこにすごくギャップを感じています(笑)。
―――藤本さんと須藤さんと安田さんの関係も小夜子たちのようですね。
そうかもしれません。須藤さんは私を引っ張っていってくれまし、私と須藤さんのシーンで、演技指導中に横から「ふんふん」という感じで安田さんが入ってこられたりするんです(笑)。それがエンジェルさんっぽくって、監督もすごく笑ってらっしゃっていて。そういう現場の雰囲気も作品に出ていると思います。
―――最後に作品の見どころをお願いします！
「小川町セレナーデ」は家族のいろんな姿を描いている作品です。その中でも小夜子の家族は特殊ですが、愛情や暖かさや一緒に壁を乗り越えていくところなど、やっぱり家族も家族であることは変わらないんです。“いろんな家族の形があっていい”と思える映画になっていると思いますので、ぜひご覧になってください！
「小川町セレナーデ」は10月11日(土)より、北海道・ディノスシネマズ札幌劇場ほかにて全国順次公開される。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
10月4日より角川シネマ新宿、川崎チネチッタほか全国順次公開
監督、脚本＝原桂之介
出演＝須藤理彩、安田顕、藤本泉、小林きな子 ほか
【HP】ogawacho.com/
