「第88回キネマ旬報ベスト・テン」の表彰式が7日行われた。キャスト部門の各賞受賞者と、受賞コメントは以下のとおり。
■主演男優賞:綾野剛(「そこのみにて光輝く」「白ゆき姫殺人事件」)
「(トロフィーが)重いですね(笑)。まず単純に非常にうれしいですし、もはやどう自分のことを疑ったらいいか、正直大変な状態です。このままだとこの作品に敗北する気がしています。これだけ賞をいただいてしまうとやっぱり、“『そこのみにて光輝く』が良かったね”と言われてしまうので、次回作への意欲を燃やすきっかけを与えてくれた作品だなと。あとはこういう賞をもらって、自分自身の成長について最近考えます。どういうことが成長か、自分は非常に偏った感覚がありまして、非常に愚かだったなと。まずこういう(賞をいただくという)ことを疑いながらも少しずつ認めていき、そうしたら自分以外のことももっと認められるのではと思います。最後になりますが関係者の皆さまもそうですが、私事ではありますがマネジャー二人にこの賞をささげたいと思います」
――この作品との出合いをどうとらえているか?
「うーん…。いろんな意味で、自分自身のいたらなさを知らしめられるような。そうして自分が落ちていった底辺に光を与えてくれるような、大変ドSな作品でしたね」
■主演女優賞:安藤サクラ(「0.5ミリ」「百円の恋」)
「私自身が一生命体としてのすごく大きなことに気付くことができたり、新しい体験をさせていただきました。この2作品の役は、とても生命力のある女性で、自分の生命力を吸い取られちゃった気がしてちょっと枯れてたんですけど(笑)、劇場で映画を見てくださった方々からとてもすてきな力をいただいて。この受賞もそうですし、映画を見てくださった方々の力をすごく感じて、元気になりました」
――「0.5ミリ」の監督は実姉の安藤桃子さん。父親の奥田瑛二さんとは、監督としてどう違うか?
「姉は一番、生き物として近いんです。同じ両親から生まれて、生まれた時代もほぼ変わらず、同じものを食べて同じお乳を吸って(笑)大きくなりましたから、感覚がとても似ていて。何も言わずに一緒に同じ世界がつくれる。父はまた違って、性別も違いますし、私は父の作品に2回出ましたが、たぶん、父にこういう女性像を描きたいっていうのが強くある気がします。一番思うのは、私がずっと二世だというのがコンプレックスだったんですが。今回がっつりスタッフが家族だらけの映画をつくって、家族を超えられたなと思いました」
■助演女優賞:小林聡美(「紙の月」)
「開会のときに司会の笠井(信輔)さんが、『きょうは非常に若い顔触れだ』っておっしゃって。私本当にきょう一番年上なんだな~と思って、こんな日が来るんだな~と思い知っています(笑)。こんな素晴らしい賞は俳優を続けていく中でも一生に一度もらえるかもらえないかという素晴らしい賞だと、大変光栄に思っています。今後も皆さまの感動を呼び起こせるような映画をつくれるよう、映画に携わるものとして頑張っていきたいです」
■助演男優賞:池松壮亮(「ぼくたちの家族」「海を感じる時」「紙の月」ほか)
(司会の笠井アナから、「池松さんは『ひと言』と言うと本当にひと言になってしまうので、“一定量”のコメントをお願いします」と前ふりされて苦笑いし)「あー、池松です(笑)。ほんとに光栄に思ってます…。えーと…(笑)ほんとにうれしいです。でも何より、この賞まで導いてくれた作品や、そこにいた人たちとの出会いが何よりの財産です、今まで関わってきた作品、今まで見た作品にも感謝してます、ありがとうございました」
■新人女優賞:門脇麦(「愛の渦」「闇金ウシジマくん Part2」ほか)
「本当に恵まれてるな、幸せだなとすごく思っていて。出合った作品や作品で出会った皆さま、近くで見守ってくださる事務所の皆さんがいなければ、ここに立てていなかっただろうと本当に感謝の気持ちでいっぱいです。自分に何が返せるか、返せるかどうかも分かりませんが、これからもいろんな作品を頑張って、そのときそのときの自分の全力を尽くすことだけなのかな、と思っています。それから、いろんな複雑な思いもありながら、見守ってくれているお父さんお母さんありがとう。本当に心からホッとできる帰る場がなかったら、ここまで頑張れてないかなと思っています。これからもたくさん心配かけると思いますが、行けるところまで頑張ってみようと思ってます」
――ワケありな役が多いように思うが自分ではどう思うか?
「そうですね、暗い役が多いんですけど、ネアカです! ポジティブ宣言しておきます(笑)」
■新人男優賞:東出昌大(「寄生獣」「クローズEXPLODE」「アオハライド」ほか)
「こんにちは、東出昌大です。このたびはこのような栄えある賞をいただき、大変光栄に、またうれしく思います。新人賞という賞は、本当に心の底から、スタッフさん、監督、ほかのキャストの皆さん、作品に恵まれたからこそいただけた賞だと思っています。きょうここにいらっしゃる映画通の皆さまはよくご存じだと思うんですけれども、上を見ればすごい諸先輩方がいますし、また今、こちらにいる池松(壮亮)くんはじめ、僕より年齢が下の世代にも素晴らしい輝きを持った役者さんが大勢います。正直、脅威に感じますし、自分自身、競争の世界で立ち続けないと、と毎日思っています。現場に入るとみんなでつくるのが映画ですが、いかに家で準備してどれだけ脚本を読んでいくかで現場も変わると思いますし作品の良さも変わってくると思います。自分自身、もっと貪欲になって役者という仕事を続けていければと思います。本日はありがとうございました」
――奥さまはこの受賞に関してコメントは?
「何て言ってたかな…。あー、良かったねみたいな。あのー(笑)、興味がないとかではなく、今はお互い本当に脇目もふらず自分の仕事にまい進してる感じなので。後々、かみしめたいと思いますいろんなことを。今は仕事を頑張りたいと思います」
――きょうのコメントを相談されたりは?
「今、座ってるときに考えてました(笑)」