NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」の取材会が東京・世田谷の松陰神社で行われ、伊勢谷友介がクランクアップした感想を語った。
■クランクアップを無事に迎えられたことについて
これだけ長く作品に関わったことは初めてです。7カ月というのは僕にとってとても長い時間で、一話一話を見終わった後に何か感じてもらえるというところで、必ず盛り上がりがあるんですね。その盛り上がりが何度もあるのですごく疲れました(笑)。
僕が演じた松陰先生は、趣向や哲学、意志といった部分を人に伝えた方なので、言葉を通してでないと伝わらないところですよね。言葉を通すということは結構しゃべるんです。しゃべる分だけ覚えないといけないじゃないですか。そのしゃべっていく中で、当日現場で気持ちものっていくのでその帳尻合わせみたいなものが何度も何度も来るので、これがつらかった。大事に考えている分だけプレッシャーも感じました。
■吉田松陰という人物について
役を演じていく中で、僕自身が思っていることを彼自身が体現していくし、僕が今まで演じた役の中でも最も自分の意志と近い方だと感じました。感慨深かったです。
そして、松陰という人物は今から見ればヒーロー像として完璧なように見えます。ですが、普通の人も成長の過程の中でいろいろなことを経験するうちに彼に成り得ることができると思っています。
(松陰は)行動の人です。今の時代、行動して変えるということが今の人にも求められていると思います。ただのヒーロー像に収めたくないという思いを強く持って演じさせていただくことができて、今はホッとしています。
■松下村塾でのシーンがメーンになっていく中での見どころ
僕が松陰先生の人生の中で最も価値があると思っていること―さまざまな言葉や哲学、趣向という部分―は受け継ぐことができていると思うんです。ですがやはり松下村塾の教育システムの構築というところにものすごく価値があるのではないかと思っています。
その塾生たちが、明治維新を起こしていきます。ただ維新を起こすかどうかではなく、実際に人間が今の時代をどう捉えてそれを自分たちでどう変えていきたいか、そのためには何をするのかということを、自分たちで考える教育によって「志」を遂げる…そんな実行力が見どころですよね。
■伊勢谷の思う教育の在り方
「志」という言葉を辞書で調べてみたら、野望というネガティブな言葉を背負っているものではなくて、社会全体がポジティブになるという意味を抱えているんですね。
そのことを実際に皆で輪になって話し合いながら、自発的にどういう世の中にしたいかということを考えていくということが日本の教育には足りていないと思っています。自分たちがどういう社会に住んでいるかを知ることも大事だし、どう理想に近づけていくかを考えて実行するということを松陰先生が教えてくれて、自らの命を使って体現されたことだと思います。
なので松陰と松下村塾の塾生との関わり方を見てほしいですね。それぞれの塾生の長所も短所も全部拾い上げた上で効力を最大化するという教育の在り方を見ていただけたら。
■吉田松陰の墓参りをして
松陰先生に「撮影をさせていただいて、松陰先生の人生を一つの形で演じさせていただきました。ご納得してはいただけないかもしれませんが、僕は自分自身のこれからの人生を伴って、自分の志をきちんと貫いていきます」と誓わせていただきました。
なお松陰最期のシーンは4月26日(日)放送の第17回にあたる。
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