綾瀬はるかが朗読で命の尊さを問い掛ける
是枝裕和監督、綾瀬はるか、池上彰が命の尊さを問い掛けるドキュメンタリー「戦後70年特別番組 いしぶみ ~忘れない。あなたたちのことを~」が8月1日(土)、日本テレビ系で放送される。
この番組は、'69年に放送されたドキュメンタリー「碑(いしぶみ)」を、映画監督・是枝裕和がリメークしたもの。1945年8月6日、広島に原爆が投下され、火災の延焼を防ぐ「建物疎開」に従事した中学生たち亡くなった。犠牲になった中学生の遺族の手記を綾瀬はるかが朗読し、その時起きた“確かな事実”を伝えていく。
また、池上彰は広島の慰霊碑を訪問。当日、建物疎開に遅刻したことで命を救われた男性に当時の事を聞く。
■綾瀬はるか:戦争を知らないもっと若い世代の子供たちに見てもらい、少しでも原爆の事を知るきっかけになって、みんなで平和を願う、そういう思いにつながっていったらいいなぁという思いです。子供たちが亡くなる前に発した言葉に、貴重な言葉が収められています。その言葉を受けて感じることがたくさんあると思いますので、ぜひその残されている言葉を聞いていただきたいと思います。
■是枝裕和監督:(「いしぶみ」は)子供たちが理不尽に死んでいくというさまをすごくリアルに描写し、見る方の中でそれが再現されるというある種、見る方のイマジネーションに委ねる作りになっています。今の作られているテレビ番組の多くのやり方とはちょっと違うというか、見る方の中で完成される番組だと思うんですね。本来、表現とはそういうものだと思っています。
この作品は、非常にテレビの本質を捕まえた、とても強い方法を核に持っているものだと思います。戦争について学ぶこともそうですが、そういうものに今の若い方が触れることで、「あ、こんなテレビ番組もあるんだ」という驚きというか、発見も同時にあるだろうと思うんですね。その両方が備わっているのがこの「いしぶみ」という作品の強みだと思いますし、僕がやってみて面白かったことでもあります。なので、そこが届くといいなと思います。
綾瀬さんには「あまり悲しみに引っ張られすぎないように」というふうに話をして、なるべく冷静に読んでいただくことにしました。ですが、それでもやっぱり子供の会話の部分で、表現力みたいなもの、多分、抑えているからこそ、余計その感情がちょっと入った時に、聞いている人、見ている人に感情が増幅して伝わるんですかね。そういう表現、抑制の効いたものがとても見事だったと思います。
■池上彰:私はNHKの呉通信部で勤務していて、8月が近づくと、特に8月6日に向けての取材、いろんな企画番組のために被爆者の方への取材をしていました。原爆の問題について、その時にも大変いろんなことを学び、ずっと原爆への問題意識を持っていたんです。そうしたら、是枝監督からこういうものがあって、出てもらえませんかという話があって、これはもう感激した。身に余る光栄。少しでも協力できればと思って参加しました。
今回のインタビューで衝撃的だったのは、助かって生き残った人たちで、命を頂いたと言っていた人もいましたが、その一方で何で生き残ってしまったのかとずっと責め続けている人もいました。「生き延びたことがこの世の地獄をもたらした。そういう思いの人もいるんだよ」ということを伝えていかなければいけないと感じています。
大勢の経験者が亡くなっている中でその膨大な人たちの人生、特に広島二中の子供たち。成長していれば、実に豊潤な人生がありえただろうに、それをあの時点で摘み取ってしまった人たちがいる。その彼らのくやしさ、つらさ、思い、そういうことを決して忘れてはいけないということ。戦争を防ぐには、前の戦争がいかに悲惨なことだったのか、そして悲惨な戦争が終わった後も人々の悲惨さがずっと続いているのだということを私たちが知り、それを伝えていかなくてはいけないと思っています。
8月1日(土)昼1:30-2:55
日本テレビ系で放送