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「それぞれが見た戦争」古市憲寿が見た物とは?

2015/08/07 17:46

みずからの戦争観について語る古市
みずからの戦争観について語る古市

CS放送 ヒストリーチャンネルで5ヶ月にわたり放送されている番組「それぞれが見た戦争」も、8月で終了。この番組に出演してきた古市憲寿さんは、この番組での出演でどんなことを感じてきたのだろうか? 収録にあたりインタビューに応じてくれた。

「この番組は押しつけがましい番組ではないのがよい。イデオロギーとは離れたところで、あの戦争はどうだったのか、なぜ起こったのかを、ある種、冷めた目線で先生方にお話を聞くことができた。イデオロギーなどに縛られずに戦争というものの理解を深められたことは、とても意味がある」と語ってくれた。

特にシリーズの第4回目に放送された「テーマ:カメラ」に関して、「今では誰でもスマートフォンを持っていて、撮ることも撮られることも当たり前の時代だけれども、当時、カメラはほとんど流通していなくて、軍や一部の人間しか持っていなかった。だから今の感覚で言うヤラセが多く見受けられた。それは悪意を持ってのヤラセということではなくて、限られた状況の中で戦争というものを伝えるかぎり、環境や状況を設定して、映像を作らざるを得なかった」と、いま作られる映像とは、根本的に制作意図が違うということに気づかされたという。

戦争そのものについては「いかに戦争を一面的に見ていても仕方がない。戦争を起こさないために戦争の悲惨な記憶を語り継ぐ必要があると言いますが、70年前におこった戦争と、現在世界で起きているものとはまるで形が違う。昔は総力戦の、国と国がぶつかり合う戦争が多かったけど、今は紛争や局地戦、テロ行為のようなものが一般的になりつつある中で、戦争を伝えることによって、どこまで現在の戦争を防げるかどうかはわからない。戦争を起こさないためには『語り継ぐ』だけではない、別の手段も考えていかなければいけない」とも。

古市自身は、いろんな国の戦争に関する博物館を周るのが趣味の一つと言うが「日本というのはあまり現物を残さない国なんだな。と僕は思いました。海外では意識的に当時のものをできるだけそのままの形で残そうとしている。日本というのは、原爆ドームを除いてほとんどなくて、後から1970年代とか80年代になってから博物館を建てている。現物を残そうとする姿勢というものは、海外と日本は違う。日本は、戦争に関して戦後すぐに残そうという発想もなく、経済発展の方を優先させてしまったということがあると思う。もっと前へ前へと経済発展をしいていこうという。ただ、ある時期までは戦争経験者が多かったから戦争のことは博物館がなくても伝わっていたと思うんですけど、1970年代や80年代になって、戦争経験者がどんどん減っていく中で、じゃあこの記憶をどう残そうということになってようやくたくさん博物館ができた」と考察している。

「戦争は見る人によってまったく姿を変えてしまう。総体として理解するのは無理で、映像やドキュメンタリーが何をして何を見ているか知ることの大事」そんなことを考える上で、今回放送されている「それぞれが見た戦争」は、視聴者にとって戦争をいろんな方向から考える、とても良いきっかけになるかもしれない。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

「それぞれが見た戦争」(全5回)
CS放送 ヒストリーチャンネルにて
8月12日(水)深夜2:00~2:30ほか
8月15日(土)までリピート放送あり

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