又吉直樹、中居正広に「もう少し早く出会いたかった」
毎週火曜に放送中の「中居正広のミになる図書館」(テレビ朝日系)に初出演する、ピース・又吉直樹にインタビューを行った。番組の人気コーナー「知らなきゃよかった」で初めて知った意外な事実や「火花」で芥川賞を受賞してからの変化などについて語ってもらった。
【又吉直樹、地元のネタ映像に「作家としては複雑」より続く】
――受賞したことで「サインをもらってきて」などと地元も盛り上がっていますか?
今はまだないですね。テレビに出始めたころはちょっとあったんですけど。うちのおやじが「サインくれ」と言ってきたので「いらんやろ」と断ったら、「お前のサインを持って行ったら定食屋のおっさんが500円負けてくれる」と言われて(笑)。何ならクーポン扱いですよね。
その定食屋さんは近所にあるというので一緒に行ったんです。僕からすれば「おやじをよろしくお願いします」という意味も込めて。
行くときにサインを持っていこうとしたら、おやじが「きょうはおまえと行くから、サインは今度一人で行くときに持って行く」と言うんです。おやじからしたらその日は僕が払うと思っているから、サインは一人で行くときに500円負けてもらおうということですよね(笑)。僕のサインが完全にクーポン券として使われていました。それくらい、舞い上がらないタイプの家族ですが、芥川賞は聞いたことがあるから、母親は戸惑っていました。「あんなすごいものいただいて…」と。
――芸人としての又吉さん、芥川賞作家としての又吉さんで(話す内容など)使い分けみたいなものはされているんですか?
取材をしてもらう中で分かってきました。いろいろ話しますけど、真面目な話しか反映されていない記事と、ふざけた話しか載せていない記事と2種類ありますから。時間を短縮するという意味で「これはどっちなんかな」と最初に考えながら取材を受けるようにしています。
――芸人と作家という二足のわらじで、新しい芸人の形を開拓されましたが、作家になって、芥川賞を受賞して「知らなきゃよかった」と思ったことはありましたか?
まだあまり作家さん方とは深いお付き合いをしていないんですが、受賞したときにその場にいた作家さんに言われたのは「芥川賞を取ると他の作家さんからの嫉妬や悪口、呪いみたいなものがすごいけれど、それはみんな同じだから気にしない方がいいよ」と、いうことでした。“知らなきゃよかった”ではなく、“知ってよかった”なことですね。
――今のところ、呪われているなと思ったことはありましたか?
僕はもともと芸人なので、割と何を言われても慣れているというか…もともとナメられて生きてきたようなところもあるので、そういう意識はないですね。そもそものスタート地点が学生時代から低いので、何を言われてもあまり気にならないのかなと思います。
――番組MCである中居正広さんの印象は?
中居さんはやはり明るくて、面白くて、最高ですよ。中学生のときに、学校に中居さんのように周りの人を生かしてくれる人がいたら僕ももう少し明るくなれたのかなと思いますね。もう少し早く出会いたかったです(笑)。
――では、最後に視聴者の方へメッセージをお願いします。
コーナー名は「知らなきゃよかった」ですが、でもむしろそこからのスタートという感じがすると思うんです。知らない方がよかったと一時的には思うかもしれませんが、結局は知っていてよかったと思うことがあるのかなと。とても複雑な心理なんですけどね。「うわっ、そうなんや…」と思いながらも、それを知ることで日々の生活が改善されてくるのかなという気がしました。
部屋が散らかっていると、つい物を見えないところに隠して片付けた気になるかもしれないですが、本気で片付けようと思ったら気合を入れて捨てないといけないんだなと。そういう感覚ですね。知らないこともたくさん学べると思うので、ぜひ見てください。
毎週火曜夜11:15-0:15ほか
テレビ朝日系で放送
※又吉直樹登場回は8月18日(火)
又吉直樹著「火花」
1296円
文藝春秋より発売中