武井咲「私は英美里に似ていると思います」

2015/09/03 07:15 配信

ドラマ

「エイジハラスメント」で主人公・英美里を演じる武井咲

毎週木曜に放送中の木曜ドラマ「エイジハラスメント」(テレビ朝日系)。現代社会の闇ともいうべきさまざまなハラスメントを扱う内館牧子原作・脚本の本作で、美しく強い主人公・吉井英美里を演じるのが武井咲だ。

テレビ朝日の夏祭りイベント(8月4日)後の取材ということで、涼やかな浴衣姿で登場した武井。屈託のない笑みで取材陣を迎えてくれた彼女が英美里に共感するところは。「私は英美里に似ていると思います。英美里と同じ立場なら、同じこと言っちゃいそう(笑)。実際に言ったらクビになっちゃうと思うけど、私も耐えられないと思います。分かっていて見ぬふりはできませんから」と、笑顔の裏に“強い芯”を秘める彼女らしい答えが返ってきた。

敵が多い反逆のヒロインを演じるということで、演じる上で心掛けることも多そうだが。「反骨精神を持っているところを見せたいですね。プロデューサーの方からは『普通のOLという役だけど、時折強いせりふを話す咲ちゃんを見たかった』と言われました。それに私なりの意見を加えつつ演じてきました」と振り返る。

実年齢と近い役ということもあってか「怖い者なしでぶつかっていけるところとか、理不尽な社会に反抗できるところは特に共感しています」と、英美里に感情移入する。

そうはいっても、芸能界の大先輩たち相手に放つ過激なせりふや暴言の数々。見ているこちらがハラハラしてしまう場面の連続で、言う方もかなりの勇気が要りそうだが…。

「でも楽しいですよ!(笑) 言いたいことを言える爽快さもあってやりやすいですし。もちろん『先輩すいません』とは思いましたけど」と、役として反逆のヒロインを表現することを楽しんでいるようだ。

武井といえば、ことテレビ朝日のドラマに関しては「お天気お姉さん」('13年)の全身黒ずくめの気象予報士、「ゼロの真実~監察医・松本真央~」('14年)の変わり者監察医など、一芸に秀でたクセ者の役が続いていた。

「私、テレビ朝日さんのドラマだと何かのスペシャリストやすごく個性が強い役が多かったので(笑)、共感するというよりも全く自分と別の人物という捉え方だったんですよ。でも、今回はそうじゃなくて、実生活で友達に英美里がいてもおかしくないなという存在感なので、シンパシーを感じているのかもしれません」と、自己分析した。

それだけに、本当に身の回りに英美里がいたとしたら「彼女は言っていることが正しいと思うので、私も同調すると思います。友達になれたんじゃないかなあ(笑)」と笑顔を見せた。

友達になれたかも、というほど武井が好きなキャラクターの英美里だが、反対に理解に苦しむところについて聞いてみた。「私は飲み会に参加しないところは正反対です。女子会とかにも誘ってほしいと思わないですし。たぶん行けば楽しいんですけど、すぐに家に帰りたくなってしまうと思います。英美里は、いつも上司に付き合って飲み会に行くので、お付き合いできるのは偉いな、大人だなと思いますね」と正直な彼女らしい答えが返ってきた。

タイトルにもある「エイジハラスメント」は若さに嫉妬したり、逆におじさんだからと蔑視したり、はたまた若いからできないなどと決めつけたり、さまざまな形がある。ドラマを通して肌で感じてきた武井の見解は?

「例えば、共演者の瀬戸(康史)くんは、お互い10代ときから知っているので、今27歳になったと聞いて、つい『おじさんじゃん!』って言っちゃいました(笑)。それもエイジハラスメントですよね。でも、あれも駄目、これも駄目と言っていたら生きづらくなると思うし、受け取り手によって変わりますからね。何でもハラスメントと呼ばれちゃうと言いたいことが言えなくなるから、このドラマの英美里の発言を聞いて、みんながそれにとらわれないようになればいいなと思っています」と、自身の“経験談”を交えて語ってくれた。

そしてハラスメントだけではなく、恋愛事情も内館脚本らしいドロドロさが売りだ。現在、小泉孝太郎演じる保科をめぐって直属の上司・百合子(稲森いずみ)と水面下で三角関係が繰り広げられている。そしてついに8月27日の第7話でそれが明るみに出た。

「この後もまた英美里の違った一面がたくさん見られると思います。百合子さんとのバチバチもドロ~ッと描かれているので、そこも見てほしいです。でも、詳しくはまだ言えません(笑)」と、含みを持たせながら無邪気に語った。

もちろん恋愛だけでなく、仕事の面でも後半に向けて進展がありそうだ。

「第5話(8月6日)の放送で、五寸くぎを自分にぶち込みたくなるくらい、自分を責めることがありました。これまでいろいろ上司に言いながらも成功してきた英美里が、失敗しちゃうところがあって、そこから人間味が増したように感じます。

『正義を貫いてカッコイイ』というだけでなく、一人の女の子として見てもらえるようになりますし、正義だけじゃどうにもならない壁に当たりながらも、前向きに頑張っていく強さを後半は見てほしいです!」と、最終章へ突入したドラマの見どころを語ってくれた。

最後に撮影で働きづめだったであろう、ことしの夏を踏まえ。9月の大型連休「シルバーウィーク」にもし休みが取れたとしたら何がしたいかを聞いてみた。

「夏らしいことをしたいから、流しそうめんとか、スイカ割りとか、バーベキューとか…夏にやり残したことをやりたいです(笑)。負け惜しみではなく、夏は暑過ぎるので逆に秋の方がいいかもしれません。でも、今は撮影のラストスパートへ向けて全力投球中なので、お楽しみは『エイジハラスメント』が終わったら、ですね」と、この日一番のキュートな笑顔で切なる願いを語ってくれた。

完結へラスト2話の「エイジハラスメント」は、三角関係や激しさを増すハラスメントなど、見どころが盛りだくさん。出演者たちの関係性や、力関係など、さまざまな形が変化していく中で、“反逆のヒロイン”武井咲が放つ輝きは色あせない。