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「下町ロケット」は理系プロデューサーが作る“理系☓文系”のハイブリッドドラマ【前編】

2015/11/21 00:37

11/22(日)より新章「ガウディ計画編」に突入する「下町ロケット」。本作を手掛ける伊與田英徳プロデューサーに制作秘話を聞いた!(取材・文=小田慶子)
11/22(日)より新章「ガウディ計画編」に突入する「下町ロケット」。本作を手掛ける伊與田英徳プロデューサーに制作秘話を聞いた!(取材・文=小田慶子) (C)TBS

ロケット打ち上げ成功! 日曜劇場「下町ロケット」(TBS系)が、11/15に放送された第5話で、ついに視聴率20.2%(関東地区)を記録した。放送当日は「世界野球WBSCプレミア12」の生中継延長によって、通常より95分も放送開始が遅れたにも関わらずの大台突破。最後の場面で主人公・佃航平(阿部寛)たちの技術を採用した純国産ロケットが打ち上げられ、感動を呼んだが、ドラマの視聴率も順調に“大気圏”へと突入し、今後ますますの上昇が期待できる。

この制作チームを率いるのは、2013年の大ヒット作「半沢直樹」、2014年の「ルーズヴェルト・ゲーム」(共にTBS系)に続き、池井戸潤の小説を三たびドラマ化したTBSの伊與田英徳プロデューサー(P)。「下町ロケット」も今年最大のヒット作となることはほぼ確実で、周囲の期待にみごと応えた伊與田Pに制作秘話を聞いた。

「今回、数字が良い理由を聞かれても、正直、僕には分からないんです。僕らはどの作品でも同じように、分かりやすくて面白いものを作ろうとしているだけなので…。その結果、数字が良くないときだってある。ただ『下町ロケット』では、佃のように技術の力で何かを成し遂げようとする人の気持ちに共感してもらえているんじゃないでしょうか。やはり日本は技術で成長してきた国なので、このドラマでそんな理系の人たちの思いを描けたのは良かったと思いますね」

実は伊與田P自身、理科大の出身で、ドラマ制作者には珍しい理系人間。それだけに、ロケット工学の研究者である主人公の佃には、思い入れがあるという。

「高校時代は数学や物理が得意だったんです。打ち明けてしまうと、大学に入るまでは宇宙物理学者になりたいと思っていました。でも、東京の大学には僕なんか及ばない優秀なやつがごろごろいて、その夢はあきらめたんです(笑)。ドラマ制作者となってからも、ロケットを作る人の物語をやりたくて、まだJAXAになる前の宇宙開発事業団(NASDA)に話を聞きに行ったこともあります。その話は結局、実現しなかったんですけどね。だからこそ、研究者として挫折しながらも宇宙を夢見る佃に、ものすごく共感していますよ」

その佃を演じる阿部寛も大学の理工学部出身。伊與田Pと同じように、高校時代は宇宙に関わる仕事をしてみたいと思っていたとか。「下町ロケット」にはそんな彼らの思いが込められているからこそ、宇宙開発に人生を賭ける主人公たちの思いをよりリアルに、かつ情熱的に描くことができ、多くの視聴者の心を動かしているかもしれない。

そして、いよいよ11/22(日)、第二部に当たる「ガウディ計画編」がスタートする。この第6話からは、第5話の3年後を舞台に、佃が新たに人工心臓などの医療機器開発に挑むことになる。伊與田Pは、2003年に医療ドラマ「ブラックジャックによろしく」(TBS系)を手掛けており、同作でさまざまな医療問題を取り上げたが、今回も福澤克雄ディレクターと共に綿密な取材を行なった。医療系の大学に赴き、心臓の手術を見学するなど、リアリティを出すための努力は惜しまない。

「これまでの『ロケット編』もそうですが、実際にその業界にいる人たちが見て、嘘はついていないと思われるものにしたい。そのため池井戸先生の原作に基づいて、取材やリサーチをしっかりやっているので『ガウディ計画編』でもリアリティは出せると思います。最近は、題材となる人工心臓や人工心臓弁の話になると、僕もつい熱くなっちゃうんですよ(笑)。原作やドラマが描くように、日本の医療には“デバイスラグ”という問題があって、新しい医療機器を開発しようとしても、なかなか認可が下りない。だから、人工弁が海外製しかない現状で、それが日本の子供たちには大きすぎて手術を受けられないということにもなる。日本の組織はリスクを回避する傾向がありますが、そうした現状がちょっとでも変わればいいなと思いますね」

伊與田Pたちはドラマ放送開始前から準備を進めてきたが、原作本「下町ロケット2 ガウディ計画編」が発売されたのはなんと11月5日。ドラマでも類を見ない最速ペースで映像化され、現在、ギリギリのスケジュールで撮影が続けられている。

「美術チームが『人工弁をどう見せますか』と焦って聞いてきました(笑)。たしかに、スタッフには苦労をかけています。でも、今回は原作を読んで感じたことがまだフレッシュなうちに、すぐドラマ化できる。もちろん、じっくり熟考するのも良いけれど、『鉄は熱いうちに打て』と言われるように、瞬発力で味があるものが出せるんじゃないかと思います」

原作本は各書店のベストセラーランキングで軒並み1位を独走中。本を買った読者の興奮も冷めやらぬうちのドラマ化で、ますます熱狂は高まりそうだ。

(【後編】に続く)

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

■「下町ロケット」
毎週日曜夜9:00-9:54
TBS系にて放送

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  • 11/22(日)より新章「ガウディ計画編」に突入する「下町ロケット」。本作を手掛ける伊與田英徳プロデューサーに制作秘話を聞いた!(取材・文=小田慶子)
  • 【写真を見る】“理系人間”の伊與田Pは、ロケット工学の研究者である主人公の佃には、思い入れを持っているという
  • 「ガウディ計画編」では、佃が新たに人工心臓などの医療機器開発にチャレンジする!

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下町ロケット(阿部寛主演)

出演者:阿部寛 土屋太鳳 立川談春 安田顕 和田聰宏 今野浩喜 山崎育三郎 中本賢 谷田歩 中村倫也 阿部進之介 竹内涼真 佐野岳  ほか

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