三谷幸喜が脚本を務める大河ドラマ「真田丸」(NHK総合ほか)を彩る個性的な出演者陣が次々と注目を集めている。今回、主演の堺雅人が演じる真田信繁に常に寄り添っている重臣・矢沢三十郎頼幸役の迫田孝也にインタビューを行った。
武将・真田幸村こと信繁の生涯を描いた同作で、好奇心旺盛な性格の信繁を献身的に支える三十郎。この三十郎を演じる迫田は、映画「ザ・マジックアワー」('06年)以降、数々の三谷作品に出演している、いわゆる“三谷組”の俳優である。
――まずは「真田丸」のオファーを受けたときの気持ちはいかがでしたか?
「ありがとうございます。全力でやらせていただきます!」って言いながら、内心はドキドキ。矢沢三十郎頼幸は最後まで真田家に仕えた家臣ということを聞いて、出番は多いなと思いました(笑)。それと、地元である鹿児島の親元まで映像が届くというのが一番うれしかったですね。
――撮影現場で真田信幸役の大泉洋さん、堺さんとの関係はいかがですか?
僕は全力で近づいていこうとしているんですけど、堺さんや大泉さんは全力で逃げるもんですから、なかなか距離が縮まらない(笑)。それがそのまま役に反映されているのかな。普段もすごくフレンドリーに接していただいてるので、僕も調子に乗って遠慮なく距離を詰めようとしています。
――堺さんと初めて共演するシーンの撮影時はいかがでしたか?
緊張しました。最初は('15年)9月1日のクランクインの日で、1話の冒頭の馬を奪って逃げる2人のシーン。その日の撮影が終わった後に、堺さんの方から食事に誘っていただいたんです。堺さんから歩み寄ってきてくれることもあるんですよ(笑)。そのおかげで、初日にして源次郎(信繁の通称)と三十郎の関係性や距離感をつかめたかもしれません。
――第1話のせりふで信繁から「たまにわずらわしいときがあるんです」と言われていました。三谷さんの脚本の中で、迫田さん自身が見抜かれているなという点はありますか?
初めて分かったんですが、うざいってところですね(笑)。僕はいい距離感を保っていると思っていたんですけど、三谷さんもわずらわしいって思ってたんだって(笑)。あのせりふがあって冷静に周りを見てみると、堺さんも大泉さんも長澤(まさみ)さんも、なるほど…ちょっと僕のことをわずらわしいと感じていらっしゃることが分かりました(笑)。
――三谷さんはどんな存在ですか?
もちろん特別な存在です。最初、三谷さんの名前を知ったのは映画「12人の優しい日本人」('91年)。あの作品が僕の心に残っていたから、この人とお仕事をすることを目指して東京に出てきたんです。それで、映画「ザ・マジックアワー」のオーディションを受けたんですが、不思議と合格するイメージだったんですよね。
受かったときはうれしさもありましたけど、すぐに次につなげていこうと思いました。その後もいろんな作品に出させてもらってるんで、僕をずっと導いてくれている方だと思っています。
――初回放送から注目を集めた小山田茂誠役の高木渉さんと仲がいいとお聞きしました。
撮影が始まって放送まで4カ月くらいの間「大丈夫かな俺たち…」っていう不安を渉さんとよくお酒の席で話しました(笑)。「大丈夫だよ」って慰め合って不安は半分になったかな。
でも、放送が始まったら渉さんがすぐに話題になっちゃって! 僕は必死でつかまっていますが、振り落とされるところですよ(笑)。あの時は「おめでとう!」ってメールを送ったんですけど、なんか日がたつにつれて悔しいって気持ちもあります(笑)。
――今後、撮影で気を付けたいことは?
出演者の方々は本当にすごい方ばかりですから気持ちでは負けないようにしたいですね。時々「やっぱりこの人たちは一線級やわ。自分は何をしているんだろう」という思いに打ちのめされることもあるんですけれど、控室など演じていない場も含めて、皆さんに求められるがままにムードメーカーをすることが大事だと思うようになりました。
真田だけではなく、徳川も上杉も裏では僕が盛り上げる(笑)! これが私の仕事だと思ってます。後は、僕は堺さんの後ろに必ずいるので、隙間を見つけて映像に入るということは必ず心掛けています。たまにわずらわしいって言われることもありますけど、負けないように続けていこうと思います(笑)。
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