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紗倉まなインタビュー後編「AVの仕事って“最低”!? 本音と理想」

2016/02/12 12:28

処女小説「最低。」を上梓した紗倉まな
処女小説「最低。」を上梓した紗倉まな 撮影●諸永恒夫

セクシー女優としてトップの人気を誇り、コラムニストとしても活躍する紗倉まなが、処女小説「最低。」を書き上げた。2月12日に発売されるこの作品は、AV業界に関わる四人の人物を中心とした4章立ての作品。

前回の「創作秘話」に続き、タイトルに込めた思いや本作を書き上げたことでの心境の変化、今後の目標について語ってもらった。

紗倉まなインタビュー前編「AV女優の処女作誕生!?」より続く】

――北海道や金沢が舞台として登場しますが(※紗倉さんは千葉県出身)、なぜなんでしょう?

紗倉:桜庭一樹さんや桜木紫乃さんの小説が好きなんですけど、同時にものすごく影響されています。お二人の小説に北海道が舞台になっている作品があって(『私の男』、『ホテルローヤル』など)、勝手に北海道に対して親近感を持っているというのは大きいですね。一人で釧路湿原に行ったこともありますよ。私、ドライブが好きなんですけど、金沢には何度も行ったことがあるんです。地元の千葉や、今住んでいる東京のほかに、自分の中では北海道と金沢ぐらいしか土地勘がなかったということですね(苦笑)。

――2章冒頭の“流氷”の描写などは実際に現地で取材してきたような迫力がありましたね。

紗倉:いや、えーっとですね、私、「ディスカバリーチャンネル」がすごい好きなんです(笑)。中でも流氷の特集みたいなものが放送されると必ず録画しておくんですよ。もちろん、実物を見てみたい気持ちもあるので、流氷の季節になると旅行の予約を取ろうとするんですけど、毎年仕事で行けなくなっちゃうんです…。だから、「ディスカバリーチャンネル」や「るるぶ」を見て、行ったつもりになってます(笑)。

――本業がお忙しくて取材まではなかなか難しいかもしれませんね。この小説を書いたことで本業に関する新たな発見などはありましたか?

紗倉:文章にすることで自分がどんな風に仕事の世界を見ているのか客観視できました。AVの撮影現場の様子をあんまり細かく文章にしたことはなかったんですけど、自分で書いたものを読むと、驚くほどあっさりしているなって。淡々と、段取りするかのような表現になっていますよね。まさに“仕事”って感じです。実際に、皆さんが思うほどいやらしい空気じゃないのがこの仕事の現場なんだなってあらためて思いました。

――作品中には「最低。」という言葉が出てきませんが、なぜタイトルに?

紗倉:実はタイトルについては「最低。」ともう一つのタイトルで非常に悩みました。「最低」という言葉を選んだ理由は、世間から見たAV業界のイメージと、自分が弱気になったとき頭の中によぎってしまう言葉が「最低」で、一致していると思ったからです。職業として誇りを持って頑張っていらっしゃる女優さんはたくさんいますし、私もそうですけど、心の葛藤はみんな抱えていると思います。「最低」ではなく「最低。」にしたのは、単なる単語ではなく、ちょっとしたつぶやきみたいな感じにしたかったからです。

――「最低」だと感じるのはどんな時でしょうか?

紗倉:親も私の仕事を認めてくれて、応援してくれていますけど、心のどこかでは嫌がっているだろうな…というのは感じています。でも、それを私自身が気付きたくないという思いがあったり、自分の仕事をすごく美化したり肯定していることが多かったんですね。そういう時に「やっぱり最低だな」って。仕事にはやりがいを感じるし誇りも持っていますけど、イメージに押し潰されて人を振りまわして、自分の気持ちに嘘をつく瞬間もあったりして、やっぱり最低だなって思うことはあるんです。10年後、今の仕事が出来ているのかな? いや、できてないだろうな…とか、そういう思いに悩まされることもあります。でも、そんな揺れを含めて自分だし、美化せずに自分と向き合うためにも、こうやって文章を書く仕事をいただけたりすることは本当にありがたいんです。

――次回作にも注目が集まりますが、今後はどんな活動に力を入れていきたいですか?

紗倉:小説を出させていただけたことは自分自身が一番驚いているんですけど、まだまだやりたいことはいっぱいあります! 飽きっぽい性格なので長続きするかは分かりませんが、小説も題材を変えて書き続けたいですし、絵で表現することにもチャレンジしたいですね。それがどういう形であれ人のためになるものならいいなって思っています。いろんなジャンルの作品づくりや表現に挑戦したいけど…音楽は…歌がヘタだし…演技も…大根過ぎて…(苦笑)。理想としては、自分が書いた小説を原作としたお芝居などができればいいですね。演じるのは…私ではない誰かにお願いします(笑)。

取材・文=大小田真

撮影=諸永恒夫

「最低。」 紗倉まな著 2月12日(金)発売

1296円(税込)KADOKAWA/メディアファクトリー

●さくら・まな

1993年3月23日、千葉県生まれ。工業高等専門学校在学中の2012年にSODクリエイトの専属女優としてAVデビュー。2015年にはスカパー! アダルト放送大賞で史上初の三冠を達成する。テレビ出演や雑誌の表紙グラビアなどでも活躍し、『週刊プレイボーイ』(集英社)、『messy』(サイゾー)でコラムを連載中。著書に『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』(宝島社)がある。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

(リリース情報)
「最低。」 紗倉まな著
2月12日(金)発売
1296円(税込)
KADOKAWA/メディアファクトリー

●さくら・まな
1993年3月23日、千葉県生まれ。工業高等専門学校在学中の2012年にSODクリエイトの専属女優としてAVデビュー。2015年にはスカパー! アダルト放送大賞で史上初の三冠を達成する。テレビ出演や雑誌の表紙グラビアなどでも活躍し、『週刊プレイボーイ』(集英社)、『messy』(サイゾー)でコラムを連載中。著書に『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』(宝島社)がある。

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