林遣都「火花」出演で“本物のナイーブ見せてやる”

2016/06/02 20:17 配信

写真左から、徳永を演じた林遣都、神谷を演じた波岡一喜

写真左から、徳永を演じた林遣都、神谷を演じた波岡一喜

お笑い芸人による芥川賞受賞、そして書籍が累計250万部の大ヒットという一大ムーブメントを巻き起こした又吉直樹の「火花」が、Netflixで実写ドラマ化。6月3日(金)より、全10話が世界190カ国へ向けて順次配信される。

同作は、師弟関係にある売れない芸人二人の歩みを描く青春劇。林遣都演じる新人芸人・徳永は、波岡一喜演じる型破りな先輩芸人・神谷にほれ込み、彼の自伝を書くという条件付きで神谷の弟子にしてもらうことに。連日飲み歩き、絆を深めながら笑いの牙を研ぎ続ける二人。だが、徐々に芸人としての明暗が分かれ始め…。

今回の配信に先駆け、林、波岡にインタビューを実施。もがき続ける芸人の姿をまさに全身全霊で演じきった二人に、その思いを聞いた。

――劇中ではお二人がそれぞれの相方と、本格的な漫才を披露されていました。漫才師を演じてみて、いかがでしたか。

波岡:あらためて、芸人さんってすごいなって思いました。漫才ができるようになるということは、とんでもなく苦しいことでした。

林:僕らは関西人なので漫才は身近にありましたけど、いざ自分がやってみると、テレビを見ているだけじゃ分からない細かいテクニックなどがたくさんあるんです。これは想像だけでやっちゃいけないなって、現場に入ってすごく感じました。ただ今回はありがたいことに、周りに本物の芸人さんがたくさんいらっしゃったので、その方々に聞いて作っていきました。

――劇場で漫才をする場面は、どのように撮影されたのでしょうか。

林:漫才のネタはどれも作家さんが頭から最後まで書いてくださって、編集で使う使わないに関係なく、僕らはそれを全部やりきる、という撮影の仕方でした。舞台は基本、ぶっつけ本番です。あのお客さんの反応は生の反応なんですよ。エキストラと呼ばれるお客さんとカメラが準備できたら、ネタを始めますっていう流れで。

波岡:こっちは舞台の袖でバーっとネタ合わせして、「…さぁやるか」みたいな。撮影というより本当にライブをする感覚で。

林:僕たちもスタッフの人たちも、うその笑いになってほしくないっていうのはあったので、まず生でやってみて。その反応を見て、後で足りないリアクションなどを監督の判断で撮る、ということはありましたけど。

波岡:一回僕ら(神谷が組んでいるコンビ・あほんだら)のネタで、“ダダスベった”ことあります。シーン!としたまま終わって、(舞台の)袖でうなだれたことも。

林:スパークス(徳永が組んでいるコンビ)は、最初は新人ですが、後半の7、8話ぐらいになると売れてきて、生で漫才するだけじゃなく絶対にウケなきゃいけないっていう条件もあったので、結構プレッシャーでした。

――そこまでリアルを追求されていたんですね。お話を伺っていて、お二方の雰囲気が役に近いように感じているのですが、ご自身ではどう思われますか?

波岡:結構、俺らまんまじゃない?

林:はい、近いと思います。

波岡:遣都のことは昔から知ってるんで、俳優の先輩後輩としての関係性も遠からずというか。

林:徳永もネタに悩んでちょっと違う道に進んでしまったとき、神谷さんが正しい道に戻してくれたりしていましたけど、僕も誰かに影響されやすかった時期に波岡さんにバスッと言われたりとか。

波岡:事務所の社長にも「神谷は波岡にすごく近い」って言われて、読んでみて、確かに共通点はいっぱいありました。一番近いのは、思ったことをすぐ言ってしまうところ。後から「言わんかったら良かった」とか思うことたくさんあるんですけど、まぁまぁ我慢できないんですよね(笑)。あと、もろい部分も確かに似てる。

林:徳永のせりふに「この人(神谷)が、すべての答えを知っていると思っている節があった」ってあるんですけど、波岡さんもはっきりしてますもんね。

波岡:うん。はっきりしてる。

林:僕は曖昧なまま行っちゃうんで(笑)。僕も本を読んだときに、この役はやりたいって強く思いました。ナイーブな青年の役っていっぱいあるんですけど、「これ本物のナイーブだな」と思ったんです。僕も自分のことを本物のナイーブだと思ってるんで、「本物見せてやりたいな」って。

一同:(笑)

林:今だから言いましたけど。心の中でずっと思ってました。

波岡:見せたんちゃう? 本当のナイーブ。初対面のときの遣都の無愛想さが出てるよ、ところどころに(笑)。

林:人の目を見れないところとか。

――林さんにも、徳永のようにうだつがあがらない時期があったんですね。

林:心から悔しい思いをした時期があったので、それを生かしたいなと思いました。徳永の“もっと面白いことができるはずなんだ”ってふつふつと秘めながら、それをうまく出すことができないもどかしさみたいな部分にすごく近いものを感じて、そこを大事にして演じられたらなと思いました。

それに、僕いま25歳なんですけど、僕の周りにも「本当にこれをやり続けていくべきなのか」っていう分岐点に立っている人たちもリアルに居たりするんですよね。僕も考えたことがありますし。

――波岡さんは神谷を演じて、どんなことを思いましたか?

波岡:神谷になってみて、自分を信じてる格好良さってものをすごく感じましたね。それは多分、俳優をやっていても、見失いがちなことなんですよ。自分を信じてあげること、それが果たしていいことかどうか分からないですけど、ただ自分を信じてやってるやつっていうのは、格好いいなって感じました。もっと自分を信じてあげてもいいのかなって。

――ご自身を信じてきれていない部分を感じました?

波岡:信じてやってきたつもりなんですけどね。なかなか結果がついてきていないんです。僕はホームランを狙うバッターじゃないと思ってるんで、バントヒットを繰り返していつか1点になると思ってやってきたんですよ。でもそれもブレるときがあるんですよ。果たしてこれでいいのかって。辞めようかって思ったこともあるし。そういうのも含めて、今回神谷をやらせてもらって、自分を信じてあげることって大事やなと思いましたね。

――この作品では芸人の浮き沈みが描かれますが、役者としてのターニングポイントになった出来事があれば教えてください。

波岡:僕は今ですよ!(笑) これで有名になりたい。これで世に知らしめようとおれは思ってます。溜めてたものを爆発させてやるぞと。

――先ほどはバントヒットという例えがありましたが。

波岡:これはね、もしかたしたらバントするつもりが、打球がポーンと上がって、「おっ、まだまだ上がった」「ん? 上がった上がった上がった!」ってなるかもしれないんです(笑)。

一同:(笑)

波岡:バントホームランっていう、幻の一発が生まれると思っています。僕は20代のころに一度、バントホームランを打ったんです。「パッチギ!」('05年公開)っていう作品で映画デビューをさせてもらったときに、それはバントホームランになったんですよ。30代に入っての初のバントホームランが、この作品になると信じています。

林:僕もこれはとても大事な作品になりました。こういった、日本中で注目されるような大作が巡って来て、みんなが一緒に仕事をしたいと思うような監督、スタッフとやらせていただいて、4カ月の撮影期間中にはかけがえのない絆が生まれました。今後もこのような作品に出合えたらなと思います。

「火花」
6月3日(金)
Netflixにて全10話一挙配信
原作=又吉直樹(「火花」文藝春秋刊)
総監督=廣木隆一
監督=白石和彌、沖田修一、久万真路、毛利安孝
脚本統括=加藤正人
脚本=高橋美幸、加藤結子
出演=林遣都、波岡一喜
門脇麦、好井まさお(井下好井)、村田秀亮(とろサーモン)、菜葉菜、山本彩(NMB48/AKB48)
徳永えり、渡辺大知、高橋メアリージュン、渡辺哲
忍成修吾、徳井優、温水洋一、嶋田久作
大久保たもつ(ザ☆忍者)、スクールゾーン(橋本稜、俵山峻)、ラフレクラン(西村真二、きょん)
染谷将太、田口トモロヲ、小林薫
【HP】hibana-netflix.jp/

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