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映画「秘密 THE TOP SECRET」の監督・大友啓史にインタビュー!脳の可能性と秘密を語る

2016/08/12 12:27

「原作を最初に読んだ時には“やられた!”」と語る大友啓史監督
「原作を最初に読んだ時には“やられた!”」と語る大友啓史監督

MELODYで連載されていた清水玲子先生の同名人気コミック「秘密 -トップ・シークレット-」を、「るろうに剣心」の大友啓史が監督、主人公の薪 剛(まき つよし)役を生田斗真が主演で実写映画化した「秘密 THE TOP SECRET」が8月6日から絶賛公開中。死者の記憶を映像化し、犯罪捜査を行う科学警察研究所法医第九研究室、通称「第九」が活動する近未来の日本を舞台に、人間の“脳と記憶”を巡る様々な事件を追った衝撃のサスペンス作品。今回は監督の大友啓史に映画「秘密 THE TOP SECRET」の魅力やこだわりをインタビュー。

Q原作「秘密 -トップ・シークレット-」のどこに興味を持たれましたか?

大友啓史(以下大友):単純に脳内映像を見るというのが面白いと思った。死者の脳内映像を見るという発想がすごいよね。人の全人格を司るのが脳で、事件の状況とか、客観的な何かが脳の中を見れば理解できると思ったら、実際は脳の中は主観の塊だった!っていうのが、すごい発見。単純に脳に残っているものが必ずしも現実ではなく事実でもなくて、そこに人間の感情による演出がある。脳を見ることで、すべて解決すると思っていた人たちが、思いがけず慌てふためくという構造が面白いかなと。それに、どことなく今の世の中っぽいと思ったんですよね。何が本当で、何が嘘か解らない。SNSやネットを含めて色々な情報が飛び交っている。僕らの映画もそういう評価の土壌に乗せられるけど、6人位が呟いた評判が多くの人に触れ回って、呟きによってたった6人が100人にも1000人にも膨れ上がってしまう。どこが出発点で、何が真実で何が嘘なのか解らなくなる。それと同じように、無数の情報が混在する脳空間の中で、主観に彩られた記憶映像だけが残され、やはり主観を持った人間たちがそれをベースに捜査をしていく。そこにはものすごく複雑でダイナミックなドラマが生まれるだろうなと。そこを捉えようとしている漫画なので、最初に読んだ時には「やられた!」って(笑)。漫画でここまで表現できるんだって思った記憶があります。それでいつか映像化できないかとタイミングを狙ってたんですよ。エロスとタナトスを巡るバイオレンスな表現も必要なので、NHKでは無理かなと。で、NHKを辞めてから、松竹さんが「秘密 -トップ・シークレット-」をやりたいと言っていただいたので、チャレンジしたと言う感じですね。

Q今回の話の主軸である「死んだ人間の脳から“過去の記憶を映像化”できる」特殊な装置“MRIスキャナー”を実写化するにあたりどう取り組みましたか

大友:人間の体ってよく出来ていて、脊髄と神経から切り離された瞬間に死んじゃうんですよね、臓器って。脳も一緒でただの物体になる。だから、体から切り離すことは出来ないよね?っていう事が先ずは初期設定としてありました。じゃあ今の脳科学の力でどこまで脳内の記憶を映像化できるかっていうのを調べてみると、少しづつ数値化され始めている。ただ、死んでしまうと脳の記憶や細胞自体は壊れてしまうからどうにもならない。脳内を見るためには脳を再び、生きている状態に近づけるよう活性化しなければいけないし、それを説得力を持って見せるシステムが必要になる。発想としては、生きている捜査官の脳と死者の脳をシステムを通じて繋げて、損壊した死者の脳細胞の活動を補填し、活性化させる。そうする事で、他者の記憶と感情が再現されて捜査官の脳内に入り込んでいく。ま、これでもかなり飛躍があるっちゃあるんですが(笑)、それでも映像化すればこのプロセスは圧倒的に面白いと思ったんですよ。いくらバーチャル化が進んでいる現代といっても、結局は自分の体と他人との世界の間には大きな溝があり境界がある。その中で、他者の最も深くて人に見せたくない感情と自分がリンクしていくという。取材を重ね調べていくなかで、「あぁ、この原作は映画になるな!」って。脚本を書きながら、そしてスタッフと喧々諤々やりながら思いついた感じです。

Q原作がある作品のキャスト選びはいかがでしたか?

大友:主人公の薪剛は、少女漫画ではありがちな設定で、身長は165くらいで35歳で女性と見紛うような少年っぽい風貌で~って。そんな人、なかなかいないよってなるじゃないですか(笑)。薪さんのモデルはシンガーソングライターのHyde(ハイド)さんで、もちろんルックスだけならそういう人もいるかもしれない、ルックスだけなら、ね。でも、それだけではなく、背負っているもの、キャラが背負っているものがすごく大事。しかも、そう言う事をちゃんと演技として成立させられるかどうかっていうのがあって。不思議なもので、外面だけではなくて内面的なアプローチで役に近づいて行けば行くほど、それを乗り越えられる力を持っているのがやっぱり俳優という人たち。ルックスだけを整えるのではなく、もう一つ先のどういう演技力をもっているのか、その人が俳優としてどういう人生を経てきたのかも大事。その役をやりたくないという人よりは、やりたいと思っている人にお願いしたいしね。そんな風な事を色々と調べたりスタッフと話し合ったりして最終的に今回の俳優たちに落とし込んでいきました。撮影に入る時点では迷いは無いですね。俳優たちには、僕のプランをぶっちゃけて話しているし、今まで演じてきた作品の感想とかも正直に話しながら、今回はこんな役だからってね。意識を共有して進めてますからね。

と上記のインタビューで今回の映画の見どころや設定を語ってくれた。気になる本編の内容や結末は絶賛公開中の映画「秘密 THE TOP SECRET」を観に行って確かめよう!

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

また、大友啓史が監督した映画「るろうに剣心」シリーズがチャンネルNECOで放送。こちらも要チェック!
8月14日(日)12:00~るろうに剣心(2012年公開作)、14:25~るろうに剣心 京都大火編、8月14日(日)17:00~るろうに剣心 伝説の最期編、
8月14日(日)19:30~るろうに剣心(2012年公開作)、8月14日(日)21:50~るろうに剣心 京都大火編、8月14日(日)24:10~るろうに剣心 伝説の最期編ほか

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  • 「原作を最初に読んだ時には“やられた!”」と語る大友啓史監督
  • 出演キャストを「ルックスだけではなく、演技力も抜群!」と太鼓判を押す大友監督
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