【試写室】「女たちの特捜最前線」“木ミス”の新境地開く

2016/08/04 05:00 配信

ドラマ

ただでさえ濃い高島礼子、宮崎美子、高畑淳子(左から)の3人に、第3話では戸田恵子も加わり話に花が咲く(C)テレビ朝日

毎クール、各局で放送されているドラマやバラエティーを事前に完成DVDを見て独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を余すところなく紹介する、Smartザテレビジョン流「試写室」。

今回は、8月4日(木)夜8時からの“木曜ミステリー”枠で放送される高島礼子主演ドラマ「女たちの特捜最前線」の第3話を一足先に視聴し、見どころを紹介する。

第3話のストーリーは、人気ホスト・新田(大水洋介)が橋から突き落とされて殺害される事件が発生。刑事課長の加藤修一郎(渡辺いっけい)は、イケメンホストを巡る愛憎が絡んだ事件とにらむが、被害者の写真を見た総務課員・京子(高島)は違和感を抱く。

というのも、どう見ても被害者はイケメンではなかった。これには写真を見た広報課員・弥生(宮崎美子)、食堂勤務の美鈴(高畑淳子)も同意し、3人はそろって首を傾げる。

そこへ、人気料理家で“京都府警女子会”の特別会員でもある乙川姫子(戸田恵子)が、番組で共演中の新人リポーター・ユウ(逢沢りな)を連れて現れた。2人はホストクラブの話題には興味がないらしく、土産を手渡すとそそくさと帰って行った。

その後、姫子の忘れ物を自宅まで届けた京子は、“セレブキャラ”を全面に押し出している姫子の意外な素顔を知る。姫子は質素なアパート暮らしで、京子が届けた忘れ物も年季の入った古い弁当箱だった。

さらに、部屋に張られた古い絵から、姫子には“はるか”という名の女の子がいたということも知るが、姫子は娘については事情があると言って語りたがらない。

そんな中、殺されたホストに貢いでいた女性客が浮上。それがホストクラブの話題には興味を示さなかったユウだと分かる。真相を追う京子たちはホストクラブに潜入捜査する。

これまで第1、2話を見て思ったのはオバさ…いや、女性の女性による女性のためのドラマというところ。伝統の木曜ミステリー枠にはかつて「科捜研の女」や「京都地検の女」など、女性がメインのドラマはたくさんあったが、今回の女性ヒロインものはまた違った味わいがある。

それもそのはず、実際には捜査に関わらない総務課員、広報課員、そして食堂勤務の女性トリオがあれよあれよと事件の真相にたどり着き、解決に導くという斬新な設定だから。

しかも、当然といえば当然だが「主婦の勘!」でも「最先端の科学捜査」で手掛かりをつかむのでもなく、あくまで“女子会トーク”の延長&地獄耳で事件のヒントを見つけるという何ともほほ笑ましいものだ。

その女子会トークの3人。見たところ、高島演じる京子は一番スタンダードというか正義感の強い人情派タイプ、宮崎演じる弥生はネガティブ過ぎる知的タイプ、そして高畑演じる美鈴は一昔前の言葉で言うところの“オバタリアン”タイプだ。ああでもないこうでもないと話している3人は、見ているだけでお腹いっぱいになりそう。いや、いい意味で。

そして今回のゲストは、長年にわたって某国民的アニメの主人公の声優を務めていることでも知られる名女優・戸田恵子。芸達者な彼女らしく、“乙姫”バージョンとプライベートの顔で、メークは当たり前だが、雰囲気すらも全くの別モノにしている。彼女の表情の変化だけを見ても1時間楽しめそうだ。

やっぱり、顔を変えるのは長年の経験から慣れているということか。っておい、それは別の作品の話だ。

また、第3話で言えば、個人的には“女子会メンバー”のトーク中、こっそり聞き耳立てて徐々に話に入っていくX21・泉川実穂の癒やし系な感じや、意外と人気ホスト役が自然過ぎてビックリしたラバーガール・大水、今回のヒロインともいうべき逢沢のどこか“不幸を背負った女性感”がお気に入り。

特に逢沢は、やはり“困ったときの逢沢りな”という格言があるだけのことはある。いや、ないとは思うけど、切ない表情というか物憂げな表情がこれほどまでに似合う若手女優は彼女以外には見当たらない。今回のストーリーで不幸を背負っているかどうかはさておき、その美貌は一見の価値あり。

レギュラーの“ナルシー”こと刑事課長・加藤(渡辺)の空回りっぷりに、イケメン風立ち居振る舞い、そして小物感がまたたまらない。あるシーンで、高島にタンカを切られてすぐに引き下がるあたり、こちらも芸達者過ぎて腹筋崩壊するほど笑えた。

とまあ、散々テキトーなことを書いてきたが一つだけ言えるのは、ある意味本作は“木曜ミステリー”の歴史を変える作品であるということ。実際、ホロリと泣かせる場面も毎話あるのも、単なるミステリードラマのそれとは一味違う。

かつてあるドラマで実際の組織ではまだ使われていない特殊な機材を使い、やがて本物の組織にも導入されたことがあったそうだが、このドラマの反響次第では、実際の警察にも捜査会議と称した女子会の時間ができるかも?

しかし、あの角切りハンバーグはうまそうだったなあ。