“駒子先生”武井咲「子供たちから逆に教えられました」
9月17日(土)夜9時から放送されるドラマスペシャル「瀬戸内少年野球団」(テレビ朝日系)で、主演を務める武井咲にインタビューを行った。
本作は、'79年に誕生した昭和を代表する作詞家・阿久悠の自伝的小説「瀬戸内少年野球団」(岩波現代文庫)が原作。'84年には“伝説の名女優”夏目雅子の主演で映画化された作品が、原作の上梓から37年、映画化から32年の時を経てよみがえる。武井は夏目が演じたヒロインの小学校教諭・駒子を演じる。
今回、武井に初の教師役に挑戦した感想や、作品から得たもの、そして現在ハマっていることなどについて語ってもらった。
――初の教師役でしたが、今回の作品で得たものはどういったものでしょうか?
子供たちがとても素直なお芝居をしていたので、私も教師だからといって肩肘張るのではなく、自然体でいいのかなと思いながら演じました。感じたままのお芝居をすることにこういうことなんだと、子供たちから逆に教えてもらえたような気がしました。それはこの作品だけではなく、今後にも生かせることだなと思いました。
――元々子供はお好きですか? 普段話す機会ってあります?
好きです。でも、今まで先生役はなかったので、ここまでずっと子供と一緒にいることはありませんでした。親戚も年が近いので、そこまで子供と接するという感覚ではなかったですし、今回はとても新鮮な気持ちで演じられました。
――偉大な先輩が演じた役ですので、プレッシャーもあったと思いますが、あらためて駒子先生の印象は?
とても心がきれいで、すてきな女性だなと思いました。夫への思いですとか、今自分が生きている時代に対しての戸惑いだったり、迷いだったりを素直に葛藤していて。それでいて、夫の正夫(三浦貴大)さんと一緒に、希望に満ちあふれて野球を始めるとか、そういう駒子の素直なところだったり、底抜けの明るさだったりがこの作品の良さにつながっているのかなと思いました。
――時代も時代ですし、言葉遣いなどは苦労されましたか?
せりふを覚えるだけではなく、イントネーションも覚えないといけないのでそこは難しかったです。英語ともまた違って、同じ日本語なのに話し方が違うというのは不思議でした。アドリブも対応するのが難しいですし、いかに自然と自分の口から発せられる言葉にするかというのは、時間がかかりました。その都度、見本の音源を聞きながら確認して演じました。
――方言指導の先生はいらっしゃらなかったんですか?
今回はいらっしゃらなかったです。音源だけいただいて、自分でできるところまで自分でやるという感じで。発音の正解はいまだに分かりませんが、心で会話をすればあまり関係ないんですよね。言葉のイントネーションにはさほど気を取られることもなく、自然と会話はできたと思います。
――では、夫役の三浦さんの印象を教えてください。
すごく端正な顔立ちをされていて全てがきれいな方でした。その場にどっしりと存在する感じもありましたし、いい意味でこのドラマの時代に合った方だなと思いました。今ではもう正夫さんにしか見えないです。
――そんな正夫さんとのシーンで印象深いシーンは?
やっぱり、戦争に送り出すシーンですかね。日本ってすごいなあと思いました。絶対に行かせたくなくて、悲しいはずなのに、「万歳!」って言って送り出さないといけないので…。そこはすごく不思議な気持ちになりました。今まで感じたことない感情でした。
――泣いていても万歳しないといけないというのは、今では考えられない感覚ですよね。
はい。何で万歳しないといけないんだろう…?って素直に思いました。でも、実際にそういう歴史があるのだなと思うと身の引き締まる思いもしました。
――野球のユニフォーム姿や、花嫁姿だったり、衣装の印象はいかがですか?
自分のことより、まず子供たちのユニフォーム姿が本当にかわいくて! 私も同じのを着られてうれしかったです。花嫁の着物は、ドラマとかでもあまり着たことがなかったので、本当にこの時代の作品ならではのものだと思いましたし、いい経験ができました。
――地方ロケがメインだったと思いますが、ロケ先で楽しかったことは何かありますか?
この作品は電柱さえも見えちゃいけなかったので、地方の何もない所で撮影させていただいたんです。なので、休み時間に何かをするわけではなく、空気の綺麗さだったり、道端に咲いているお花の美しさだったり、都会とは違う良さを感じることはできました。
――秋の気配もしてきましたが、秋の味覚でお好きなものは何でしょうか?
私、キノコが食べられないんですよ(笑)。なので、サンマですかね。あと、この時期になると炊き込みご飯も作りたくなるし、食べたくなります!
――炊き込みご飯にキノコは入ってないんですか?
キノコを入れるときもありますが、気分によって絶対に食べたくない!ってときは入れないですね(笑)。
――お忙しいと思いますが、休みの時にハマっているものは?
お料理をよくします。何かレシピを見たり、お母さんに作り方を聞いたりして作ることが多いです。ロケでいただくお弁当や外食が続くときは、体に優しいご飯を作るとか。あとは、季節を感じられるお料理を作れるようになりたいなと思って料理の勉強を頑張っています。
――では、最後に視聴者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
今の時代では考えられない、たぶん理解も難しいくらいこう昔の日本のお話です。私も生まれる前のことなので、理解はできないけれど、こういう歴史もあったんだというのを知ることも大事だと思うし、それがあって今があるとも思うんです。この作品を見て、子供たちの真っすぐなところを見ていただきたいです。そして現代の子供たちも、今一生懸命頑張るものがあるのなら一生懸命全うしてほしいですね。そうすれば、何か希望が見えてくるのではないでしょうか。それがこの作品を見た人に伝わればいいなと。そして、少しでもあすへの活力になってくれればいいなと思いますので、いろいろな世代の方に見ていただきたいです。
9月17日(土)夜9:00-11:16
テレビ朝日系にて放送