NHK BSプレミアムで放送中のプレミアムドラマ「隠れ菊」(毎週日曜夜10:00-10:50)が盛り上がりを見せている。連城三紀彦の同名小説を原作に、浜名湖畔の料亭「花ずみ」に嫁いだ通子(観月ありさ)の奮闘と男女の人間模様を赤裸々に描くドラマだが、中でも通子の元夫・旬平を前川泰之が好演している。
旬平は、通子の下で「新生・花ずみ」の板長となり、通子(元妻)と愛人(現妻)の多衣(緒川たまき)の2人の女性から愛されてしまう役どころだが、職人気質で寡黙な男からにじみ出る大人の色気が「さもありなん」と思わせる説得力を持っている。
前川は'93年からモデルとして海外のコレクションでも活躍し、'05年に俳優デビュー。多くのヒット作に出演してきた。
最近では「真田丸」(NHK総合ほか)での春日信達役は、思いを内に秘めて苦悩する悲運な武士を好演し、話題を集めたばかりだ。
旬平を演じる前川に、ドラマについて話を聞いた。
――台本を読まれたときに、ご自身の役について思われたことはありますか?
旬平は口数は少ないので、一見わがままにも見えるけれど、自分の信念を貫くところが魅力的だと思います。少し不器用で、職人気質な部分が似ているというか、共感できる部分ですね。ただ男性としてはどうかな…(笑)。女々しいと言うか、何と言うか。ですが、同じ男性としてこんな気持ちなのかな…と。その辺りは自分でも入りやすかったです。
――観月ありささんとの共演についてはいかがでしたか? 観月さん演じる通子と旬平の関係性につきましてもお聞かせください。
観月さんは本当に爽やかな方で、通子に対しての意気込みも感じるし、物事に動じないと言うかどっしりされた方で、その芯の強さ、根本の強さみたいなものが通子とかぶって見ることができてやりやすく、一緒に仕事させていただいて楽しかったです。
通子と旬平は、台本を読んでいると「もっと旬平が言いたいことを言えばいいのに」と思ったりもします。彼は割と気付いてほしいと思う方で。そういうところがだんだんと通子と溝が深くなってしまう要因なのかなと。
女性がすごく強いと男性は劣等感を覚えたりすることもあると思うので、現場のみんなは「通子強いなぁ」と言っています(笑)。
――旬平が料理人ということで、今回職人ならではの包丁を扱うシーンが多いと思いますが、練習などされたのでしょうか。
お料理屋さんに教わりに行きました。刃渡30cmくらいの柳刃という包丁を使用して、マグロや、マダイなどの魚を切る練習をしました。演技の中で盛り付けもしたんですよ。タイを薄造りをして、薄く切って、キクの形に盛り付けしました。残念ながら映像に出てこないんです(笑)。
物語に出てくる板前さんの前掛けも、自分で結べた方がいいかなと思って買って、家で料理する時は巻いています。元々料理が好きで、刺し身包丁と、板前さんが良く使う、先が金属になっている真菜箸(まなばし)という箸を借りて、家でもよく使うようになりました。自然と家でウチの奥さんと刺し身を食べる回数が増えました(笑)。
――試写会の時、会見では全身全霊で役を演じられたと言っていましたがその意気込みの源になったものは何ですか?
そうですね…。頑張る度合いはどの役も同じですが、いつも撮影入る前までに原作を読み込むようにしています。そして監督とも話をしたりして…。監督とは「実は旬平は演じるのがとても難しい。言葉が少ない中で、いかに道子と多衣との関係性を描くか」について、何度も打ち合わせをしました。
そして旬平という人も、演じるという上ではとても魅力的な人だったので、自分自身の「隠れ菊」という作品と、旬平に対してのほれ込み具合はちょっと今までと違うかなと思っています。
それだけ作品を良くしたいと思いますし、旬平は言ったら駄目な夫ですが、人間としてすごくチャーミングで、役柄として面白く作っていきたいなという意気込みはすごくありました。
ですので、旬平が育った景色を見ておこうかなと思って、浜名湖に行ったりもしてみました。そこの空気や景色を知れたので、作中の会話の中でも、自分がそういうものをイメージできる助けになったと思います。やれることは全てやろうと思って臨みました。
――後半に向けての旬平のみどころはなんでしょうか
これまでは通子との距離が近くなったかと思えば離れたり、多衣の方に近づいたように見えては離れたり、その辺りのビックリする展開と言いますか…とにかく最終回まで目が離せない展開が待っています。
ですが、その中でも旬平の根本は変わっておらず、一本気に自分を貫いています。6話(10月9日[日]放送)以降では、その旬平が実際どう考えているのかが少しづつ明らかになっていきます。どうぞご期待ください!
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