映画「Lーエルー」公開 広瀬アリスインタビュー(前編)

2016/11/02 17:30 配信

映画

ーー愛を探し求め続けた一人の女性“エル”の孤独で壮絶な人生を綴った物語ーー。11月25日(金)より公開の映画「Lーエルー」は、Acid Black Cherryが2015年2月にリリースしたコンセプトアルバム「L-エル-」が原作。このコンセプトアルバムは【CDショップ大賞2016】の入賞作品に選出され、総計20万枚以上の驚異的なセールスを記録。また、同年8月には物語部分が書籍化され、5刷と版を重ねるなど、ミュージックシーンにおいて異例の展開を繰り広げました。今回は、主役のエル役を務める広瀬アリスにインタビュー。

兄は『絶対に見に行く』って言ってくれてたみたいです(笑)


「エルは純粋すぎるし、優しすぎる」とも語る広瀬アリス


――映画「L−エル−」は、Acid Black Cherryのコンセプトアルバム「L−エル−」を映画化するという、今までにない新しい形の作品ですが、この映画のオファーを受けた時、どんなことを思われましたか?

「今回お話を聞いた時に、もともと完成されているアルバムを実写化するということで、とても斬新だなと思いましたし、挑戦という意味で撮影をすごく楽しみにしていました」

――実写化するうえでのプレッシャーもあったんじゃないかと思いますが。

「本や音楽と演じるのとではまた違うので。本でしか描けないことももちろんありますし、映像でしか描けない部分もあると思うので、そこをどこまでみなさんが受け入れてくださるのかなと。ただ自分はやりきったので、賛否両論全部受け付けます(笑)」

――オフィシャルサイトのコメントを拝見すると、広瀬さんのお兄さんがAcid Black Cherryの音楽のファンだそうで。出演されることを聞いて、お兄さんはなんとおっしゃっていましたか?

「兄には最初に報告したんですけど、私には『ふ〜ん』ぐらいで終わってたんです。だけど母親には『マジかよ?! マジかよ?!』って言ってたみたいで(笑)。兄は全然妹の仕事に興味がないみたいなんですけど、これは『絶対に見に行く』って言ってくれてたみたいです(笑)。だから早く見せてあげたいです」

――このストーリーを読まれた時、エルの人生についてどう思いましたか?

「シンプルに壮絶だなと思いました(笑)。なかなか共感できるところが少なくて。ただ、彼女は本当に純粋すぎるのと、優しすぎるなっていう印象を受けました。だからこそ相手はそれに甘んじて、彼女はどんどん悪い方向に落ちていってしまうんですけど。ほとんどが流れに身を任せている状態で、たぶんそれが彼女らしさの一つではあると思うんですけど、私はちょっと、あの人生は嫌だな(笑)。自分で演じながら、“これはダメだよ、エル!”ってツッコミを入れてました」

――そんなエルの役どころを、どういうふうにつかんでいったのでしょうか?

「今回はコンセプトアルバムも本もあって、参考にする材料がたくさんあったので、そこにすごく助けられました。今まで台本とその原作を読むこともあったんですけど、なかなか自分の思い通りにはいかなかったりしたので、そういった意味ではすごく助かりました。本を読みながら音楽をずっと流して、“たぶんこのシーンはこの曲だな”みたいなことを想像したりして。こういう女性にしようっていうことよりも、周りの環境を見ながら自分を合わせていたというか、溶け込んでいた部分があります。エルという一人の女性を演じてはいるんですけど、ジェットコースターのように浮き沈みが激しい人生なので、何人もの女性を演じているいうな感覚になりました」

音楽アルバムからの実写映画化は国内初!


――今作はCGもたくさん使われているのですが、実際の撮影はいかがでしたか?

「CGになる撮影は、グリーンバックの中、『ここにこういうものがあります、ここにこれがあります。どうぞ!』って言われるので(笑)、お芝居はするんですけど、完成するまで分からないんですよね、どういう景色になるのかとか。真緑の中で想像力を広げて演技をするのは結構大変で(笑)。でもそこは監督さんがすごくケアしてくださったので、自分達も安心してできたのかなって思います」

――CGもそうですし、年齢の幅の広い役どころでもあったので、今作でいろんな挑戦をされたと思いますが、演じるうえで一番大変だったことはどんなことですか?

「どのシーンも大変だったんですけど、この作品は希望に満ち溢れた明るい作品ではないので、自分でなんとなくテンションをグッと押さえ込んでから撮影に挑んでいたんです。だから逆に普通に会話をしていたり、明るい感じのシーンがちょっと大変でしたね。絶望しかないシーンの方が、すぐにグッと感情を入れることができて思いっきりできた感じがあります。だからラストにいけばいくほど自分はすごくやりやすくて、どんどんのめり込んでいけました」(次週後編へ続く)

撮影=植村忠透/取材・文=大窪由香

■「Lーエルー」ストーリー■ 

ただ、私は愛されたかった...欲しかったのは、愛。 “色のない街”で生まれ、両親に愛情を注がれて幸せに育った少女エル(広瀬アリス)。ところが両親の突然の事故死により、エルの人生は一変していくこととなる。悲しみに打ちひしがれる幼きエルを得意の絵で元気づけたのが、幼なじみの絵描きの少年オヴェス(古川雄輝)だった。エルとオヴェスは互いを励ましあいながら生きてきたが、成人したエルは“ある選択”を迫られ、突然消え去るように故郷から去っていき、二人は離れ離れになる。誰かを信じては裏切られ また誰かを信じては傷つけられ、襲い掛かる運命に翻弄されながら波乱の人生を懸命に生きたエル。そして遠い故郷からエルを想い続けたオヴェス。二人の生涯を綴った壮大な物語が“真実の愛”とは何かを描き出す。

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