【笑ってはいけない】月亭方正インタビュー「毎年『今回が最後』と思ってるんです」

2016/11/22 11:00 配信

バラエティー

「名探偵24時」の“ケッコー仮面”をはじめ、「笑ってはいけない」シリーズでは毎年、月亭方正のもとに笑いの神が舞い降りる!

ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(日本テレビ系)が誇る、大みそか恒例の超大型特番「笑ってはいけない」シリーズから、'15年に放送された「絶対に笑ってはいけない名探偵24時」が、ついにBlu-ray&DVDとなって登場! 

そして、ことしの大みそかも新作「絶対に笑ってはいけない科学博士24時!!」の放送が決定!! そこで今回は、メンバーの1人である月亭方正を直撃。笑ったらお尻をたたかれるという単純明快にして爆笑必至の一大企画「笑ってはいけない」シリーズへの、愛憎相なかばする思いの丈をあらためて語ってもらった。

――今回ソフト化される「名探偵24時」で、最もキツかった仕掛けは何でしょうか。

やっぱり、ケッコー仮面の格好をさせられたときですよね。最初は、覆面で顔が隠れるから笑ってもバレへんと思って、内心ほくそ笑んでたんですけど、松本(人志)さんが突然、“10分間連帯責任カード”を使うって言い出して。

これが、松本さん以外の誰か1人でも笑うたら全員が尻をシバかれるっていう恐ろしいカードなんです。ケッコー仮面はTバックやから、ケツがむき出しでしょ。痛さがダイレクトなんですよ! 

しかも僕が痛がる様子を浜田(雅功)さんとココリコが笑うから、何度もシバかれるっていう無限ループ(笑)。あのとき思わず「おケツ壊れる!!」って言いましたけど、あれは僕の心からの叫びです。ていうか、そもそも僕がケッコー仮面に着替えなあかん理由が分からん!

――(笑)。では逆に、お気に入りの仕掛けは?

タイキック用サポーターの“まもるくん”かな。田中(直樹)が絶対ヒドい目に遭うって分かってるんやけど、何度見てもやっぱり笑ってしまいますね(笑)。

あと、これも田中がオモロかったネタなんですけど、スーパーマリオメーカー。みんなで30回以上トライして、最後、テレビゲームが一番苦手な田中が頑張って、ようやくゴールしたら、まさかのオチが待ってたっていう…あれは悲し過ぎる結末でしたね(笑)。

――毎年恒例となっている蝶野正洋さんのビンタのくだりも、今回はまさかの展開でしたが…。

そう、去年の蝶野さんの流れはマジですごかった! あれはもうサスペンスドラマの域ですよ。実はね、「笑ってはいけない」はこれが最後やと思ってたんです。たぶん僕だけやなく、ダウンタウンさんもココリコもみんなそう思ってたんちゃうかな。

松本さんなんか記者会見のとき、「10年目で卒業したい」って言うてはったし(笑)。だから蝶野さんのくだりも、「なるほど、最後はこう来たか!」ってびっくりしたんですけど…でも、そこから何だかんだあって、結局そうなるんかい、っていうね…。

僕、かれこれ8年連続で蝶野さんのビンタの餌食になってるらしいんですよ。でも、いつか僕以外の誰かがビンタされる日が来ることを信じてます(笑)。

――収録のときも、「『笑ってはいけない』はこれで最後かも」という雰囲気はあったんですか。

僕はあったような気がします。何しろ、松本さんと浜田さんのスタミナの低下が激しくてね(笑)。いや、でもしゃあないですよ、だってお2人ともことしで53歳ですよ!?

――ダウンタウンさんがつらそうなときは、代わりに方正さんやココリコさんが張り切るわけですか?

まぁ、そうですね。スタッフも、キツい仕掛けはなるべく僕ら若手に任せようとしてるんとちゃうかな。まぁ若手いうても、3人とも40代後半なんやけど(笑)。

――年齢による体力の低下は仕方がないとして、収録に臨むに当たって何か対策は講じていますか?

去年は、痛み止めを飲んで行ったんですけど、頭痛薬だったから全く意味がなかったという(笑)。でも考えてみたら、お尻の痛みを麻痺させる薬って何だか怖いですよねぇ。ことしはどうしたらええんやろ…(笑)。

――「笑ってはいけない」シリーズでは毎回、松本さんと浜田さんが部屋の中で2人きりになる時間もありますよね。ダウンタウンのファンにとっては、欠かせない見どころになっています。

あの時間がダウンタウンさんにとって、一番緊張する時間なのかも分からないですね。松本さんも浜田さんも、ものすごく脳が動いてると思う。きっと他の番組では出てない緊張感があるんやろうし。

普段は、番組の収録の合間に偶然トイレのタイミングが一緒になるとか、それぐらいでしょうから。狭い空間にたった2人っていうのはまずないと思うんで。

――では、これまでのシリーズ全体を振り返って、特に印象に残っている出来事は?

一番最初の「絶対笑ってはいけない温泉旅館の旅」('03年)は、お尻に吹き矢っていうお仕置きだったんです。全部ほんまにお尻の肉に刺さってて、もう血だらけなんですよ! 

たたかれるのとは比べもんにならない痛さで。必死に笑わんとこうってガマンしてましたね。もちろん、今でも笑いをこらえてはいるんですけど、あのときは全く別の緊迫感があったというか。視聴者の方々からも「かわいそう」っていう声が多かったみたいで、次の年はムチでお尻をシバかれるっていう罰に変わったんですから。

――吹き矢の痛さと棒でたたかれる痛さとでは、どんな違いがあるんでしょうか?

たたかれるときはジワジワ痛くなってくるんやけど、吹き矢は一発目からもう痛い! 収録からしばらくはお尻がブツブツやったし。まぁ幸い、痕は残らなかったんですけどね。ただ年齢的な問題なのか、松本さんはブツブツが消えるのが僕らより遅かったみたいです(笑)。

――全シリーズ中でお気に入りの仕掛けは?

初期のころは、よく外国人のキャラが出てきたんですけど、僕は大好きでしたね。ガタイのいい黒人の旅館の板長とか。「この魚はどこで水揚げされたんですか?」って聞いても、片言で「知ラネエ」って(笑)。あとは、温泉の脱衣所でパンツを探すボブ。

――「パンツないわ~、パンツ」のせりふが秀逸でしたね(笑)。

そうそう、今思い出しても笑いますもんね(笑)。ああいうキャラをもし日本人がやったら「ちゃんと笑わさなきゃ」みたいな意識が働くと思うんですけど、外国の人にはそういう欲が全然ないから。何なら「何で自分はここにおるんやろ」ぐらいの感覚やからね(笑)。そういう無欲な感じがタマらない。

あと無欲といえば、やっぱり強烈だったのは、“新おにぃ”と“板尾さんの嫁”。番組が生み出したという意味で、僕の中の二大スターですね。

――スターといえば、大物ゲストも毎年の楽しみの一つですね。

そうですね。僕が特に覚えてるのは「絶対に笑ってはいけないホテルマン24時」('09年)に受付嬢役で出ていただいた前田美波里さん。宝塚風のメークと衣装で、遠藤(章造)に向かって「エンドレ!」って(笑)。あれは腰くだけたなぁ。

大御所といわれるような方々が、あそこまでやりきってはるのが面白いんですよね。僕としては、今後はお笑いの方々にもたくさん出てほしいです。偉い人役で(ビート)たけしさんや(笑福亭)鶴瓶師匠なんかが出てきはったら、もうそれだけで笑いますもん。

――ではシリーズを通じて、「これだけは二度とゴメンだ」という仕掛けは?

もちろんゴボウです!「絶対に笑ってはいけない警察24時」('06年)のとき、夜寝てたらモリマンが突然部屋に乱入してきて、ゴボウしばき合い対決が一方的に始まるっていう。寝起きなんで、痛過ぎてリアクションも何もあらへん。

いつも言うてますけど、ゴボウはただの木やから!! たまたま食べれるだけやから! いや、最初に配られた警棒が僕だけゴボウやったんで、イヤな予感はしてたんですよね…。そんな意地悪な伏線を張るスタッフが怖いやら腹立つやらで、今や全く信用できなくなりました(笑)。

あと、江頭(2:50)さんがお尻から白い粉を噴射するっていう罰ゲームも強烈でしたね(※'12年「絶対に笑ってはいけない熱血教師24時」、'13年「絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時」で登場)。

あれはほんまに、人としてやったらアカン(笑)。テレビで見てると、粉が舞ってフワ~ッてなってるだけに見えるけど、実際はすごい臭いなんですよ。あんなん、人間の顔に噴射したらダメですよ!!

――(笑)。蝶野さんのビンタよりもキツい?

いやいや、もちろん蝶野さんも、本当に毎年怖くて仕方ないですけど。

――ちなみに、「笑ってはいけない」の収録以外で、蝶野さんと会ってお話しされたりすることはないんですか? 「いつもゴメンな」とか…。

いや、全くないです。蝶野さんも、僕とは会わないようにしてはるのかも分からないですけど。ほんまに、年に一回ビンタされるだけの関係で(笑)。でも、その割に蝶野さん、どこかのインタビューで「方正くんとは信頼関係ができてる」って言うてるらしくて。

「彼はプロだから、思い切りビンタできる。だから俺は、一般の素人にビンタをせがまれても絶対にできない」って。僕からしたら信頼関係なんて全然ないですよ。だいたい僕、何のプロなんですか!?

――(笑)。ではあらためて、方正さんから見た「笑ってはいけない」シリーズの魅力とは?

ご存知の方も多いと思うんですけど、この企画のコンセプトって、松本さんの発案なんですね。会議のときに「“笑ったヤツが罰を受ける”っていうロケをやろうか?」って。それを聞いたとき、僕は「どういう風に笑わせたらええんやろ?」って考えたんです。

でも、松本さんがさらに続けて「俺らが笑わされる側やねん」と。僕はもう、ハテナしか浮かばなくて。最初は正直、何がオモロいのか全く理解できなかった。そやけど、その時点ではもう松本さんの頭の中では、今の「笑ってはいけない」のイメージができあがってたんですよね。

そんなふうに、松本さんには発想のレベルがいくつもあって、しかもそれを俯瞰で見る視点を持ってる。そういう意味では、「笑ってはいけない」というのは、松本さんのスゴさを再認識させられる企画の一つですね。

――個人的に、「笑ってはいけない」という企画における今後の展望はありますか?

このシリーズが大みそかに放送されるようになって、去年でちょうど10周年やったんですよ。松本さんは「10年の節目で卒業したい」って言うてましたけど(笑)、実は僕、2、3年前から毎年「今回が最後やぞ」って自分に言い聞かせてるんです。

後ろ向きな気持ちやなくて、前の年より少しでもオモロくなるように頑張ろうっていう意味でね。それで結果的に、新しい面白さを毎回出せてるから、ここまで続いてきたんやろうなって思いますね。毎回、ほんまに腹抱えて笑って、本気で痛がって…。

そういうリアリティーがあるから、毎年たくさんの人に楽しんでもらえてるのかなと。あと、最近よく思うのは、この「笑ってはいけない」というシリーズは、僕がおじいちゃんになったとき、家族と一緒にDVDでも見ながら、じっくりと振り返りたいなって。

今はその渦中にいるから、まだまだ客観的に見ることはできないんですけど。でもとにかく、僕の芸人人生の中で、すごく大事な思い出になるはずやと思うんで。