濱田岳“想像しただけでも大変”な落語番組がスタート
10月19日夜10時50分から「超入門!落語 THE MOVIE」がスタートする。この番組では、一流の落語家が語る落語に合わせて再現役者が動く、“アテブリ芝居”で古典落語の世界を再現する。
初回は、古今亭菊之丞による「お見立て」、春風亭一之輔による「かぼちゃ屋」を放送。「お見立て」では前田敦子が花魁・喜瀬川に扮し、嫌いな客(塚地武雅)をあの手この手で追い返そうとする。また、「かぼちゃ屋」には加藤諒が出演する。
そんな「―落語 THE MOVIE」で、ことし3月と7月に放送された特番から引き続き、案内人を務める濱田岳を直撃。落語との出会いや、レギュラー化への意気込みを聞いた。
――まずは、レギュラー化が決まった時の感想を聞かせてください。
番組に関わった人間として、継続することが素直にうれしかったです。お客さんの好評があってこそ続くものですから、楽しんでもらえたというのを実感できる、ありがたい評価だと思います。番組でも言っていますが、落語はどうしても“とっつきにくい”という印象を持たれやすいと思うので、それが少しでも覆ってくれたらうれしいです。
――落語には以前から興味があったのですか?
僕自身も、以前は落語を縁遠いものだと感じていて、今後もきっと見ることはないと思っていました。でも、ご縁があって、立川談春さんが高座で「紺屋高尾」を披露されるのを見る機会があったんです。
もちろん甘く見ていたというわけではないですが、思いがけずストーリーに引き込まれてしまって、涙まで流れました。談春さんはもちろん、落語家さんの話術、そして、それを受け継いでいく伝統芸能のすごさというものを痛感しました。
そして'15年には「赤めだか」(TBS系)というスペシャルドラマに出演させてもらいました。立川流の物語で、他の流派とはやり方に違いはあるかもしれませんが、落語に取り組む思いにはすごく引かれました。ただの落語ファンだったのが、少しレベルアップした。そこに、この番組からオファーがあったので、若者代表というか落語から遠ざかっている年代の代表として、落語に触れてほしいし、そのきっかけ作りに関われたらなと思いました。
――番組の魅力をどのように感じていますか?
落語には、まだ“とっつきにくい”というイメージがあると思うんです。寄席に行かないと見られなかったり、テレビでやっていても朝早くだったり。だからこそ、映像で見せるのは、“めんどうで小難しい”という印象をぬぐう、いいきっかけになると思います。
ただ、“入門”という言葉に、ある種の緊張はありました。これまでの落語番組はおそらく、落語好きの方、つまり玄人向けにどう新しく見せていくかが大事だったと思うんです。でも、この番組は、どんな方が見ても興味が持てるようにすることを考えていて、それが新たな試みだと思いました。
また、僕個人で言えば、案内人として、落語で言うところのいわゆる“枕”の部分を任せてもらっています。枕は、落語家さんたちが何より緊張するところで、ここでお客さんの反応を見てから演目を決めることもあるという重要なポジション。時代劇(再現)パートには出ていないですが、責任感を持ってやっています
――案内人を務めて、あらためて見つけた落語の面白さはありますか?
物語には起承転結があって、多くの場合、正義が勝つという流れがありますが、落語で描かれるのは、駄目な人たちの日常のワンシーンや頑張り、その一喜一憂です。そこに世代を超えた面白みがあるから、この番組のようなスタイルが成り立つんだと思っています。
――落語家の言葉に合わせて芝居をするというのは、俳優目線で見ていかがですか?
有名な俳優さんたちが、落語の“再現VTR”に出てくださっているようなもので、ぜいたくさを感じます。それも、せりふを咀嚼(そしゃく)して自分の間で話すのではなく、師匠たちの語りに合わせて演じるというのは、想像しただけでも大変ですし、本当に芝居が上手な方でないとできないことだと思います。ただ、先輩方がそれだけ難しいことをされている中、僕は現代語で話しているだけなので、それは申し訳ないなと思います(笑)。
――今後、番組の中でやってみたいことはありますか?
好きな人はご存じだと思いますが、古今亭志ん朝師匠が、「まだ、東京が江戸と呼ばれていた頃…」と言って話し始めるのが、とても格好良くて好きなんです。番組内でも隙あらば言ってみたいです(笑)。
――落語好きな濱田さんから、初心者に向けて落語を楽しむ秘訣(ひけつ)があれば教えてください。
「超入門」とうたっているだけに、番組では懇切丁寧にフォローをしています。まず、番組内で披露される落語は、元々の長さではなくて、師匠方が短くまとめてくださっているんです。
それに、師匠方は実際に高座で語っているのですが、その映像もネットで見られます。ですので、予習として師匠方の落語を聞いて、語りだけでイメージできない部分を映像で補う、といったこともできます。
そうしてこの番組を楽しんでいただいて、時間のあるときには寄席にも行っていただいて…というふうに見続けると、きっと師匠方のくせも分かるようになってくるでしょうし、見方が変わってくると思います。そうやって、落語の世界に入っていってもらえたらうれしいですね。
10月19日スタート
毎週水曜夜10:50-11:15
NHK総合にて放送