渡辺謙、豊川悦司が“執念”のぶつかり合い「人間の力が何かを変えていく」<「逃亡者」インタビュー・後編>
――最後に「逃亡者」の魅力を、一言で表現するとしたら何だと思いますか?
豊川:“ドラマ”ですかね。どんな人の人生にもドラマチックな部分があると思うのですが、今の世の中は個人のドラマ=個性を規制するような風潮がある気がするんです。社会の中の個人の重要性が薄れているような。
このドラマには、加倉井という一人の人間が自分だけの力でいろんなものをひっくり返していくところに醍醐味(だいごみ)がある。人間の力が何かを変えていくということが原作のコンセプトにもあったと思いますが、このドラマではそういった部分を感じていただくことができる。アクションやケレン味なども見どころですが、その奥にある意味みたいなものを感じてもらえたらと思います。
渡辺:僕は“執念”です。加倉井も保坂も途方もなく執念深いんですよね。警察としてなぜそこまでして追うのか、加倉井側にもなぜそこまで犯人を見つけなければならないのか? お互いの執念がぶつかり合うお話で、徐々に遠隔的にシンパシーを感じ合う。互いに何なんだろう、この人は? という気持ちを持ちながら、大団円を迎えますので、そこにも注目していただけたらと思います。
かなり精魂込めて作り上げた作品です。スタッフ、キャストともにある意味、泥水を飲むような現場を乗り越えて、なかなかハードな追跡劇を作り上げることができました。ぜひ、僕と一緒に2日間、逃げていただければと思います。
取材・文=及川静