スタート時から“語り”で支え続けたキートン山田、ついに番組を卒業「最後の最後にいい番組に出会えた」
3月28日(日)放送の「ポツンと一軒家」(夜7:58-8:56、テレビ朝日系)をもって、番組放送開始時からナレーションを担当していたキートン山田が、声優人生の引退に伴い、同番組を卒業することが分かった。丁寧で愛のこもった語りで長く同番組を彩ってきたキートンが、卒業に合わせ、同番組の魅力について語った。
キートン山田からのコメント
――「ポツンと一軒家」との出会いのエピソードからお聞かせください。
最初は、前の番組(※)から引き継いだので、区切りが特にないんです。ただね、「ポツンと一軒家」はすごくインパクトがありましたよ。他の番組にはない“この世の中に逆行した番組”ですから、最初から乗り気でした(笑)。
僕は、生まれが北海道の山奥。小学校の頃は炭鉱の入り口にある、それこそ“ポツン”とある家に暮らしていたんです。水道も井戸もなくて、沢水をバケツで運ぶのが僕の役割で、お風呂に水を貯めるために何度も運ぶんですよ。
そんな暮らしをしていたので、この番組に出てくる暮らしぶりには共通するところもありますし、懐かしさも感じるんですね。
※「ポツンと一軒家」は前身番組「人生で大事なことは〇〇から学んだ」のワンコーナーとして誕生
――キートンさんにとっては、懐かしい風景でもあったのですね。
私は昭和20年生まれですから、昔はみんなこうだったんだなって、思い出させてくれるような番組です。便利さだけを求めて合理性だけを目指してきた戦後です。
ただ、この番組で感じるのは懐かしさだけではなくて、やはり人間力の大切さかなと思います。素朴で不便な暮らしに見えるかもしれないけど、生きる力をすごく感じる。
高齢者の方にとっては懐かしく、まだまだ人生を楽しめると感じられる方もいるでしょうし、今の若い方々にとっても、この番組を見て、考えさせられた人もいるんじゃないでしょうか。僕自身、勇気をたくさんもらえたと思います。
――毎回、どのような思いでナレーションに臨まれていたのでしょうか。
「ポツンと一軒家」の映像って、距離が遠いと感じませんか?作り物ではないありのままの自然の映像をそのまま映し出しているので、映像にすごく力があるんです。
都会で暮らしていると風や雨や空の色なんかを感じることが少ないじゃないですか。でも映像では鳥の声も川のせせらぎの音も聞こえてくる。
特に今の時代はそんな自然の中に行けないような方々も見ていると思うんです。
ナレーションがなくてもいい部分もいっぱいあるなあと感じていましたね。僕は収録に入るまで映像を見ないでぶっつけ本番で話すんです。だから感動、感激しながら、心奪われてナレーションを忘れることもありましたよ。
ただ、ナレーションは飾らず装飾しないことが大事なんです。なんといったってこの番組は映像が中心ですから、僕の感動はなるべく出さないようにしてました。
僕が感動しているのをお見せするのではなくて、見ている人が感動するわけですから。僕自身は感動の起伏を出さないようにしていましたが、どうしても出ちゃうので、抑えるのが大変でした(笑)。
映像の魅力がしっかりと伝わることを心がけながら、だけど自然に気持ちが出る部分はそのままに喋っていました。