「タナダさん感がたっぷりなシーンとセリフ」
――泣きながら笑うシーンではみなさんのお芝居が、絶妙でしたよね。
高畑:あれは監督が「悲しいシーンにしたくない。笑えるシーンにしたいんです」っておっしゃっていて。何ともいえないシュールな空気感だったので、タナダさん感がたっぷりなシーンだなと思いました。
――では、印象に残っているセリフは?
大久保:私は取調室で、「友達のことは裏切れませんから」って言ったときに、「あ、そっか。先生と生徒の関係じゃなくて、茉莉子先生はあさひちゃんをもう友達だと思っていたんだ」っていうのに気付いて、しっくりきたというか。自分にとってもやっぱりあさひちゃんは特別で、ただ生徒が家を飛び出してきたから面倒を見続けているわけじゃなくて、いつの間にか一緒にいて楽しいし、自分の人生の中にも生活の中にも入っていた子なんだなっていうのを実感しました。あれを言いながら、わかったこともあるし、「おぉー! そっかそっか」と妙に納得しましたね。
高畑:私はなんだろう…めちゃくちゃ喋ってるからな…。「一番大切なのは、今日食べる米」という言葉は、印象には残っていますね。来月のお仕事がちゃんと進むかもわからなくて、自分がちょうどそういうことを考えている時期だったので。この映画も撮れるかわからないなと思っていたんですけど、無事撮影できて。当時、東京がすごくピリピリしていたんですよ。まだコロナがどういうものかもよくわかっていなくて、何も信じられないみたいな空気が漂っていて、みんながものすごく不安定な感じでした。
そんなときにこの撮影で一カ月間くらい福島に行っていたんですけど、現地はとても穏やかな時間が流れていて、自分自身にだけフォーカスを当てて過ごせる毎日でした。「本当にやりたいことって何だろう?」「本当に大切なものって何なのかな?」と撮影しながらぼんやり考えていたので、「一番大切なのは、今日食べる米」もそうですが、これはタナダさんが言いたいんだろうなっていう長ゼリフとかはどれもすごく印象的でしたね。
9月10日(金)公開/福島県先行公開中
出演:高畑充希 柳家喬太郎 大久保佳代子
甲本雅裕 佐野弘樹 神尾佑 竹原ピストル/光石研/吉行和子
脚本・監督:タナダユキ
主題歌:Hakubi「栞」(unBORDE)
制作プロダクション:ホリプロ
配給:ポニーキャニオン
公式サイト:hamano-asahi.jp
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