元気を出したいときに聴いてほしい
――アルバムには色んなタイプの曲が収録されているので、歌い分けも難しそうですね。意識していることや、参考にしているものはありますか?
楽曲によりけりですね。僕の場合、声優としてキャラソンを歌うときはそのキャラクターの個性から歌い方や、表現の仕方を模索しつつ、リファレンスを探すんです。オーダーでもそういったイメージをいただくことが多いですね。
でも、アーティスト・内田雄馬として歌を表現するときは、自分がどう表現したいのか、何を伝えたいのかにしっかりとフォーカスして歌に落とし込んでいます。声優として得たものも、もちろんアーティストとしての表現の幅を広げてくれていますし、逆もまたありますね。
――“内田雄馬”という人間にインプットされたことで自ずとつながっているイメージですね。
その感覚が近いかもしれないです。声優だから、アーティストだから、というよりも何を表現するかで分けているのかもしれない。「こういうことを表現したい。どういうやり方で伝えよう? お芝居? 歌?」って。どうすれば受け取り手に伝わりやすいかを考えて、表現ツールを変えているイメージです。
――今回のアルバムは、受け取り手にどんなときに聴いてほしいですか?
やっぱり元気を出したいときに聴いてほしいです。去年1年間は、ライブで皆さんと会場でお会いする機会がつくれなかったりと、僕にとっても寂しいことがかなり多い年でした。そんなとき、自分自身が内田雄馬の音楽に元気を求めているって気が付いたんです。その結果出来上がったのが、このアルバム。自分の心の根っこと向き合う時間が長かったからこそ生まれた曲も多いし、皆さんにもパワーをあげられる1枚になったと思います。
――曲順にもこだわりがあったりも?
基本的には聴き心地を優先していますね。自分の感覚を信じて決めていきました。ただ、最後から2曲目の「I'm not complete」は入れる場所を悩みました。2年前くらいから僕がゴスペルをやりたいって言っていて、できた曲なんですよ。でもいざアルバムに入れてみたときに、この曲だけでメッセージが完結しすぎていて。それで13曲目に「向かうべき場所へ」を加えました。それによって、先を想像できる余地が生まれたんじゃないかと思います。