私、夏が好きになったんですよ
――今回の収録曲で一番前のものは4年前の「はじまりのしるし」になりますが、お仕事でもプライベートでも、4年前と比べてご自身で変わったなと思うことはありますか?
お仕事で言うと、楽曲提供させていただいたのは自分にとってすごく大きな変化で、今までになかった経験というか、面白さも違うし、もっとやりたいなって思いました。経験がなさ過ぎるのでどんどん経験をして自分を知りたいというか。
岩井俊二監督と組んでる「ikire(イキレ)」というユニットがあって、コロナ禍で映画館に人が全然入らなくなってしまったということで、ミニシアター支援として初めて映画音楽を作ったりというのもありました。
自分自身としては、これめっちゃ変わったなって思ったのが、私、夏が好きになったんですよ。これはすごいことで(笑)。今までは冬が大好きで、誕生日が春なんですけど、次は夏かって思ったらちょっと下がっちゃうくらい嫌いだったのに、急にすごい夏好き!って思って。
北海道の夏は涼しいから当然好きなんですけど、そうじゃなくて本州の夏を好きになったのが自分にとっては衝撃で。
体温と同じくらいの温度が外にあって、歩いてたら汗かいて嫌だなって思うんですけど、じっとしていると「どこまでが自分の肌なんだろう?」って、すごく集中するんです。だけど分からなくなってきて、どんどん自分が溶けていってる感覚がして。ちょっと不思議な発見で「気持ちいい!」ってなったんですよね(笑)。
それはなかなか札幌では体感できないんで、今年も神社とかに行ってやりましたね。セミの音を聞くとトランス状態になるからいいなと思って(笑)。
――好きになったきっかけのところですけど、どうして夏が嫌いなのに外でじっとしてようと思ったんですか?
まさに今思い出したんですけど、私の曲に長野の山に行った時に感じたものを曲にしたものがあって、それにセミの声が欲しかったんですよ。だから長野に行って、セミをずっと録ってたんです。その日はすごく暑くて、やばいと思ってたんですけど、なんか「あれ? 好きかも」ってなってきて(笑)。それに気付いてからじっとすることを始めました。
いつか個展みたいなこともやりたいなって思ってます
――2020年12月にデビュー10周年を迎えられましたが、10年をご自身で振り返ってみていかがでしょうか。
本当にいろんなことがあり過ぎました。ギターを持ち始めて、歌って、ツアーを始めたり、自分でアレンジをやってみたり、それこそアニメの曲を書かせてもらったり、全部が大事なんですけど、大きく考えると、自分の好きなものがクリアになっていった10年なのかなと思ってます。
去年それをちょっと考えたんですよ。10年を区切りに、コロナでライブはできなかったので、何かやりたくて。コロナ前に「ふりこのふりこ」っていう企画を10周年に向けてやったんです。
すごいアンビエントな、電子音とかもちょっと多めのライブと、弦楽器だけっていうアレンジのライブ。私はどっちも同じくらい好きで、振り子みたいで行ったり来たりしてる感じだったんですけど、でも相反してるようで相反してないのかもしれないとか、それをちょっと知りたくて10周年を迎える前にどっちのアレンジもやったんですよね。
それをやってた時に、自分はこれが好きなんだっていうことが分かって、それを踏まえて10周年にちなんで「ten.」っていう動画を作ってみたんです。一旦、とりあえず好きを詰め込んだ、全部を一緒にした作品を1つ作ってみようということで。
それをやってみて、「こうだったんだ」って自分の中では一段落したので、今はどっちかと言うと次の10年をどうしようかと考えるようになりました。
――その次の10年、今何か思いついたり、やりたいと考えていることはあるんでしょうか。
やりたいことは本当にめっちゃたくさんあるんですけど、濃縮した感じで自分の好きなものをどんどん深めていきたいって気持ちもあって、やり続けることを続けつつ、ジャンルとか関係なく、どんどん新しい人とコラボしたいっていう気持ちがあります。
今までやったことないことをどんどんやっていきたくて、映像音楽もやってみたいし、アニメの曲も楽曲提供ももっとやっていきたいし。次の10年が終わった時に振り返って、その前の10年よりもまたさらに自分がこんな経験したなって言えるような10年にしたいと思います。
あと、カメラをゲットして映像を自分で撮ることもやってるので、いつか個展みたいなこともやりたいなって思ってます。