幅広いと言われますけど、断らなかったらこうなった、という結果なんです(笑)
──では、これまで担当した中で最も印象に残っている番組は何でしょうか?
「印象に残ってるというか、僕のキャリアが一番広がったきっかけになったのは『ダウンタウンDX』です。初期は大阪で収録していた番組なんですが、途中から東京のスタジオで撮ることになって。そのときにネタ出し要員として、東京の若手放送作家を集めようということになり、15人くらい呼ばれたんですね。それで毎週ネタ会議に参加していたんですけど、半年後くらいに気付いたら、僕を含め2、3人くらいになってて。それで、本会議の方に来てもいいと言われたんです。それ以来、先輩方からの紹介で、仕事のオファーをもらえるようになっていった。放送作家って基本、誰かの紹介で仕事が広がっていくものなんです。僕が今担当している番組も、誰とどの仕事でつながっているか、全部たどれますから」
──その後、山名さんは法律、経済、医学…と、さまざまなジャンルの番組を担当しています。
「基本的に、断らなかったらこうなった、という結果なんです(笑)。人からは、幅広いとよく言われるんですけど、悪い言い方をすると節操がないっていう(笑)。僕は、スケジュール的に無理なもの、既に担当している番組と時間帯やジャンルがかぶるものは断りますけど、それ以外は基本的に断らないようにしています。唯一断るのはスポーツ。全く知識がないし、興味も薄いので、参加しても現場の足を引っ張ることは目に見えているから、スポーツだけは断るようにしています」
――もともとテレビが好きで好きでたまらないというタイプではないのが、かえってよかったのかもしれませんね。
「すごく好きで始めた仕事ではない分、何とか自分の立ち位置をつくろうとしてきました。僕は学習していくタイプなので、新しいジャンルの仕事をすることになったら、とにかく勉強して吸収する。それが結果的にうまく回っているんだと思います。
『ガイア』や『ジパング』にしても、最初は経済のことなんて全然分からなかったんですけど、途中から“自分が分からないものは視聴者にも伝わらない”というふうに開き直ったというか(笑)、頭を切り換えたんです。経済のことを教えてくれるスタッフとやりとりする中で、自分が理解できるまで話を聞いて、それを整理して、どうやったら視聴者に伝わるかを考えていく。教養系の番組に呼ばれたときは、そういうところに自分の役割があると思って取り組んでいます」
──では、番組を作る上での信条、モットーは?
「今のテレビ番組の多くは、何がしかの情報を伝えるものじゃないですか。だから“ちゃんと伝わっているか”ということにプライオリティーを置く、ということですね。こんなに面白いものがあるよとか、こんな素晴らしい人がいるんだよとか、そういった情報が、どういう形だったら一番視聴者に伝わるのか、ということは考えます」