ミュージカル「ミス・サイゴン」の製作発表会見が2月7日に都内で行われ、エンジニア役の市村正親、駒田一、伊礼彼方、東山義久とキム役の高畑充希、昆夏美、屋比久知奈が登壇した。
ベトナム戦争末期のベトナム・サイゴンを舞台に、エンジニアの経営するキャバレーで知り合ったベトナム人の少女・キムと米兵・クリスの恋愛模様の他、キムの子・タムへの究極の愛を描く同作品。
ミュージカル「レ・ミゼラブル」のクリエーティブ・チームが手掛る第2弾として製作され、日本では1992年から1年半の帝国ロングラン以来、通算上演回数1463回を重ねる大ヒット作で、今年日本初演から30周年を迎える。2020年に全国8都市での106公演を予定していたが、新型コロナ感染防止のために中止となっていた。今回の公演は7、8月の東京・帝国劇場公演を皮切りに、11月まで全国9都市で計116公演を予定している。
会見では、今回の新キャストである伊礼、東山、高畑、屋比久の4人が演じる役への思いを語った。
伊礼は「エンジニアの人間臭いところがとても好きですね。夢を持って一攫千金を狙っているところもありますし、何よりも彼は混血というアイデンティティーを持っているのですが、僕も同じアイデンティティーを持っている身として、“今いる立場に足がついていない状態”というのがすごく理解できるんです。彼のもがいている心情を少なからず理解できるので、僕には彼が『寂しい独りぼっちの男の子』のように感じるんです。そういうところを掘り下げていきたいなと思っています」と告白。
一方、東山は「(エンジニアは)『この夢がかなえばいいな』というのではなく、『夢をもぎ取る』という感じ。そういうエネルギーがあるところが一番の魅力だと思います。僕はそこに引かれるし、そこを探求して、市村さん、駒田さん、伊礼くんとは違うエンジニアを表現できればと思います」とにっこり。
また、高畑は「お稽古する中で歴史的な背景を学んで、(物語に登場するのは)キムというキャラクターではあるんですけど、あの時期には(物語で描かれる)ああいう状況がいっぱいあって、『“ある女の子がそういう状況に置かれた時に、どういう選択をしていくか”という話なのだな』と思ったので、(トリプルキャストという)こうやってキムが3人いるっていうのが素晴らしいことだなと思っています。前回の稽古で、昆ちゃんや屋比久ちゃんを見ているだけですごくインスピレーションをが沸いたり、刺激をもらったりすることが本当に多かったので、今回もいろんな人と話してどんなキムが出来上がっていくのか自分自身でも楽しみです」と明かした。
ほか、屋比久は「あの時代に生きた一人の女性の生き様だったり、『どういう状況で、どういう選択をしなければいけなかったのか』というのを、本当に深く彼女を愛して理解して、強さと弱さと汚いところと美しいところ、全部を表現できるように精いっぱい向き合いたいなと強く感じています」とコメントした。
◆取材・文=原田健
東宝