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<100分de名著>制作統括「名著を通じて、この狭い世界が全てではないと感じてほしい」10代向けSPに込めた思いとは

2022/08/08 05:00

難解な本に思えても、いつかほどけることがある

下野紘
下野紘(C)NHK


ーー「100分de名著」の制作統括として、数えきれないほどの名著を読まれてきた秋満さんですが、ご自身の10代での読書体験を教えてください。

こういう仕事をしていると小さい頃からたくさん本を読んできたように思われるのですが、小学生まではほとんど本を読んだことがなかったんです。ですが6年生のとき、同級生が読書感想文で賞を獲ったことをきっかけに、自分も本を読まなければという思いが生まれて。

そこで父の書斎から「まずは薄い本を」と手にしたのが、新潮文庫から出ているヘミングウェイの「老人と海」とカフカの「変身」でした。「老人と海」は途中で挫折してしまったのですが、目が覚めたら虫になっていた、という始まりの「変身」には度肝を抜かれ、半年ぐらいかけて読み終えて。とはいえ、面白く読んだものの、理解できてはいなかったんです。それが、大人になるにつれて、だんだん意味が分かって来るようになる。(※以下、若干「変身」のネタバレを含みます)

僕の祖父が若干認知症になってしまったのですが、その時、ふと「虫になる」ということが、突如体が不自由になったり認知症になったり、といったことを象徴しているのではないか、と思ったんです。

「変身」のラストでは、お兄さんが死んでしまったにも関わらずなぜか家族が幸せそうにしていて、初めて読んだ時には違和感を覚えました。けれど再読してみるとやっぱり、介護からようやく解放されたからなんじゃないか、と。そして、そこには確かに幸せなだけではなく、切なさも描かれている。悲しみがありながらも、そこから解放されることへの切なさと幸福感のようなものが、読んでいて胸に迫ってきました。一読してわからなくても、それをずっと胸にためておけば、いつかほどけることがあると思います。

若い世代の皆さんも、最初はつまずくかもしれませんが、難しい本でも、いつか分かるかもしれないと思って、1日5分でも読んでいくといいかもしれません。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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