後輩の成長を見守る側になった青山
――塚本さんにとって、俳優としても役柄としても、後輩にあたる白洲さんや拓海は愛されキャラだなと感じることはありますか?
そうですね(笑)。白洲くんが「刑事7人」の撮影現場に入りたての時は、白洲くん自身が自分の撮影現場での新しいポジションに戸惑っているのが手に取るように伝わってきて、他の現場ではいじられてこなかったんだろうなという感じがしました。
でも、年々慣れていったのか、「刑事7人」の現場に来た時に限り、“いじられキャラ”に徹しています。最初はいじられてもうまく返せない白洲くんを少し心配もしていたのですが、今ではどんないじりも白洲くんらしく返すので、僕ももう安心していじっています(笑)。
――新しい後輩として路敏が加入しましたが、路敏演じる小瀧さんの印象を教えてください。
のんちゃんは、人の懐に入ってくるのがすごくうまいです(笑)。長年続いているドラマに新しく加入するというだけでも普通は緊張しちゃいますし、ましてや事務所の大先輩でもある東山さんが主演を務めているドラマに出演するというプレッシャーに押しつぶされてしまってもおかしくないんです。
だから、恐る恐る、探り探りくるのかなと思っていたのですが、そんなことはなく、人懐っこい弟のような感じで、すぐに現場になじんでいました。
僕演じる青山とのんちゃん演じる路敏がバディを組んで、とある介護施設へ潜入捜査をするという第5話の撮影では、のんちゃんと10日間くらい一緒にいました。撮影の合間では、僕の話をうれしそうに聞いてくれたり、逆にのんちゃんが僕にいろいろな話をしてくれたりと、その撮影期間でぐっと距離が縮まりました。
僕にとってのんちゃんは、「刑事7人」の一番の末っ子であり、人懐っこいかわいい弟のような存在です(笑)。
――塚本さんから見て、青山は路敏をどう思っていると感じましたか?
「Z世代」というのも初めてだったこともあり、効率重視という独自スタイルを貫く路敏に対して、あまりいい印象を抱いてはいなかったと思います。青山はどちらかと言えば、「縦の礼儀」を大切にしているというキャラクターなので、初対面の路敏をよく思えなかったのではないでしょうか。
青山は若い頃に少しやんちゃをしていたんですね。世話をしてくれた先輩にはすごく感謝をしているだろうし、その先輩がしてくれたいいことは後輩に還元するような環境で育ってきたはずなんです。
一度関わりのあった人間に対して、とても情が厚い男なので、久しぶりに会っても、「おう、元気してるか!」など声を掛けたりしています。青山というキャラクターは、若い頃も刑事になった今も、上下関係に重きを置いて生きてきたんです。
そこに「先輩後輩、関係なくないですか?」と主張する路敏が突然やってきました。今までの自分が接してきた後輩とは違う路敏に対して、青山はどう接していいのか正直、分からなかったと思います。
でも、そんな路敏と青山たちがどんなふうに変わっていくのか、互いに歩み寄るのか、それとも互いにわが道をいくのか、それが今回の「刑事7人」のテーマの一つだったんじゃないのかなと今は思っています。
――青山は後輩の拓海ができてから、刑事としても人としても成長したように思います。今回は、その後輩・拓海が先輩になりましたが、塚本さんから見て、拓海の先輩ぶりはいかがでしょうか?
環がいなくなって、拓海にとって頼れるお姉さんがいなくなりました。拓海にとって青山はお兄さんポジションではありますが、青山の「Z世代」への戸惑いを感じ取った拓海は、青山に頼るのではなく、自分で頑張ろうと決めたように思います(笑)。
Z世代の路敏とそんなZ世代に戸惑うお兄さんたちをつなぐ「中間管理職」として、頑張る拓海の姿を今シーズンでは見ることができました。
先輩として、路敏を何とかすることを全うしようと奮闘はするんですが、そこは拓海なのでうまくいかないんですよね(笑)。不器用ながら頑張っていたら、その背中をしっかり見ていてくれてた路敏がいたり、他の人たちに助けてもらったりと拓海らしさがよく出ていたかなとも思っています。
頑張っている弟である拓海のことを、僕も青山も「頑張ってんな、こいつ!」と思って見守っていた「シーズン8」でした。