尾上菊之助が、11月29日に都内で開催されたゲームの人気作を舞台で追体験できる「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」の製作発表会見に登壇。中村獅童、尾上松也、坂東彦三郎、中村梅枝、中村米吉、中村橋之助、上村吉太朗、北瀬佳範氏(SQUARE ENIX)と共に、企画が実現に至った経緯などを語った。
企画と演出を担当する菊之助は「毎月当たり前のようにあった歌舞伎公演がなくなり、なんとかしたいと思っていた時に気持ちを救い上げてくれたのは、20年以上前に発売したファイナルファンタジーXでした」と語り、「互いを思い合いながら強大な敵に立ち向かう姿勢は、コロナ禍で戦争の起きている世界に強いメッセージを届けられるのではないかと思いました」と企画理由について説明。
さらに「私自身もファイナルファンタジーXに救われたように、少しでもエンターテインメントの世界に元気を届けたい」と言葉を添えた。
見どころや名言がたくさんある作品
ゲームをしていた当時に話が移ると「このゲームは映画を見ているような感覚になりました。それ以前のゲームは自分が主人公の視点でゲームをしていくスタイル。でもファイナルファンタジーXは、キャラクターの視点で感情移入しながらゲームをすることに非常に感動したのを覚えています」と回顧した。
そんな作品の舞台化について菊之助は「見どころや名言がたくさんある作品。その中の一つ、ティーダとユウナが心を通わせる水のシーンは、8メートルの巨大スクリーンの映像を使いつつ、水を使わないで表現をできないかを考えています」と難題に挑戦していることを明かした。
また、菊之助本人が企画書を作り上げ、ビデオレターをSQUARE ENIXに送ったことが語られると、SQUARE ENIXの北瀬氏は「YouTubeにアップされたビデオレターのオファーは初めてでした」と驚きつつ、「ゲームの設定やキャラクターを理解された上でお話しされていたので、お任せしても心配のない方々だなと思いました」と明かし、「完成がどんなものになるのかワクワクしています」と笑みを見せた。
「9時間はしんどい」の声も
公演そのものは前後編の9時間を予定している。菊之助は「Twitterで『9時間はしんどい』というお声を頂きました」との発言に共演者から笑いが。続けて「劇場の座席はクッション性の高いシートを全席に設置することにしました」と明かし、快適な座り心地を約束。客席を360度ステージで囲んだ劇場に、菊之助は「長距離を移動する舞台になるので、今から体力づくりに取り組んでいます」と意気込みながら語った。