幼なじみという感覚は抜けずにいたかなと思います
――義時は三浦義村のことをどう思っていると解釈して演じていましたか?
義村はつかみどころのない人物ですが、基本的には絶対に自分を裏切ることのない男と思って過ごしてきました。ただ、義村の上手く立ち回った方が生き残れるし、死んでしまったらおしまいじゃないか、という考え方は非常に理解できます。義時としては、信頼を寄せているし、2人は幼い頃からずっと共に生きてきたので、いつになっても幼なじみという感覚は抜けずにいたのかなと思います。
――三浦義村を演じる山本耕史さんとの現場はいかがでしたか?
今回の大河ドラマでは、非常に共演者に助けられました。他の方々はもちろんですが、特に耕史さんや小池さんは、僕の演技に対してものすごくしっかりしたリアクションをとってくださいます。自分の中で大きくキャラクターを見せたりする必要がなくて、「きっとこういう風に旬くんは考えているんだろうな」ということを理解した上で、的確にリアクションをとってくれて、そういう相手役とお芝居すると無理しなくていいんだよなと思う瞬間が非常にたくさんありました。
耕史さんとご一緒する時は、いつもそういう瞬間を味わうことができて、彼自身も面白い芝居をされるのですが、義時というキャラクターが自分の目にどう映っていて、見ているお客さんたちが自分のリアクションによってどういう義時を感じるのかということを考えてくれる俳優さんなので非常に救われました。
小池さんと坂口くんがいてくれて非常に楽しかったです
――政子との関係や小池栄子さんの存在をどのように捉えていますか?
政子のおかげで北条の人たちは人生が変わっているので、そこには思うことがありますが、義時としてはずっと一緒に過ごしている中で、「良い事は良い」「悪いことは悪い」という基準が昔から変わっていない政子は、守りたいものの一つだったのではないかと思っています。義時が最後の最後まで守りたいものとは何だったのだろう、と考えた時に、政子の純粋さと昔の自分のような泰時という2つだったのではないかと思います。それを真っすぐに演じてくれる小池さんと坂口くんがいてくれて非常に楽しかったです。
――政子は子どもたちがことごとく亡くなり、対して義時は子どもたちが生きていますが。
基本的に義時は、政子の息子の死に関わってしまっているので本当に申し訳ないなと思っています。撮影をしていても、何で政子は普通にしていられるのだろうと思う瞬間もあって、どんなに悲しい出来事があっても自分の人生が終わらない限り生きていかなくてはいけない、悲しみや苦しみには一度蓋をしなければいけない瞬間もあるのかなと思いました。ただ、結構辛いことが起きているのに小池さんが演じる政子は意外と明るくて、小池さんが演じるからこそ説得力を持った政子を見せられたのかなとも思います。