吉沢亮が主演を務めるドラマ「PICU 小児集中治療室」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)の第10話が12月12日に放送された。前回ラストで視聴者を動揺させた武四郎(吉沢)の退職願。注目のその後は、涙に包まれつつ、新たな一歩を踏み出す姿が描かれた。(以下、ネタバレがあります)
退職願を出した武四郎は…
同ドラマは「大規模なPICUの運営は極めて困難」とされる広大な北海道で、吉沢演じる“しこちゃん先生”こと新米小児科医・志子田武四郎が先輩医師らと共に、どんな子どもでも受け入れられるPICU(Pediatric Intensive Care Unitの略称で小児専門の集中治療室のこと)を作るため、そして、1秒でも早く搬送できる医療用ジェット機の運用を実現するために奔走する姿を描く。
“子どもの命”をテーマに「生きるとは」「命とは」「家族とは」という問いに、真正面から向き合うメディカル・ヒューマンドラマとなる。
日本各地でPICUの整備を推し進めてきた小児集中治療のパイオニアである植野元を安田顕、武四郎と同時期にPICUに配属された救命医・綿貫りさを木村文乃、看護師・羽生仁子を高梨臨、武四郎の幼なじみの救命医・矢野悠太を高杉真宙、同じく幼なじみの小児外科医・河本舞を菅野莉央、武四郎が子どものころから好きだった涌井桃子を生田絵梨花、女手一つで武四郎を育てた母・南を大竹しのぶが演じる。
がんを患っていた南の死と、終末期を迎える患者・圭吾(柊木陽太)のことが重なり、「医者ってなんなんですかね」という言葉を吐いたあとに、退職願を残して病院を去った武四郎のその後を描く第10話。悠太らが自宅を訪れても追い返していた武四郎を変えるきっかけは、1本の電話だった。
「生きてるからね、君は」
電話の相手は、第1話で登場した稚内市にある個人病院の院長・山田(イッセー尾形)。診察している子どものインフルエンザ脳症を疑い、武四郎に助言を求めたのだった。
電話のあとも心配な武四郎は車で稚内へ。子どもは武四郎の助言もあって熱が下がり、無事に帰っていたが、山田は何かを感じ取ったかのように「君、いま暇でしょ。手伝ってよ」と頼んだ。
その夜、食事をしながら「何かありました?」と切り出した山田に、武四郎は母や圭吾のことで医師としての無力さを感じ「何に向かって働いていけばいいのか、何に向かって生きて行けばいいのか…わからないんですよ」と語った。
山田はそんな武四郎の頭を抱えるように抱きしめた。「先生?僕、臭いですよ。お風呂数日入ってないんで」と武四郎。山田は武四郎の頭のにおいを嗅ぎ、「うん、本当だ。生きてるからね、君は」と言うと、武四郎の目に涙がたまっていった。そして「君は子どもが心配でここまで来たんだ。大丈夫、立派な医者だ」の言葉に嗚咽を漏らした。
“泣くな”という家訓もあって苦しさのなか泣けなかった武四郎の心が解きほぐされていく瞬間だった。